~はじめての歯みがき、いつから?どう始める?~
赤ちゃんの小さな歯がひょっこり顔を出したとき、多くの保護者の方がこう思うのではないでしょうか。
「そろそろ歯みがきを始めるべき?でも、どうすればいいの?」
「歯が1本しかないのに、ケアって本当に必要なの?」
実は、乳歯は単なる“仮の歯”ではなく、将来生えてくる永久歯の土台づくりに深く関係しています。歯が生えたその日から始めるケアは、お子さんの“歯の一生”を左右する大切なステップです。
この記事では、赤ちゃんの歯が生え始めたタイミングで知っておきたいケア方法や道具の選び方、よくある疑問まで、歯科の専門知識をもとにわかりやすくお届けします。
赤ちゃんの歯はいつ生える?何本生える?

赤ちゃんの歯(乳歯)は、一般的に生後6〜9ヶ月頃に下の前歯(中切歯)から生え始め、約2歳半~3歳までに20本が生えそろいます。
ただし、成長には個人差があるため、1歳を過ぎて最初の歯が出てくることもあります。多少のズレは問題ありません。
生える順番 | 歯の名前 | 時期の目安 |
1番目 | 下の前歯(中切歯) | 6〜10ヶ月頃 |
2番目 | 上の前歯(中切歯) | 8〜12ヶ月頃 |
3番目以降 | 側切歯〜第二乳臼歯 | 1歳〜3歳頃 |
歯が1本でも生えたら始めたいケア

「まだ1本だけだから大丈夫」と思いがちですが、歯が生えた瞬間からお口の中では“菌”との戦いが始まっています。赤ちゃんの歯はエナメル質が薄く、虫歯になりやすい状態。早めのケアがとても大切です。
ガーゼ・シリコンブラシでふき取る
最初は歯ブラシではなく、以下のような方法で歯の汚れをやさしく取り除きましょう。
- 清潔なガーゼをぬるま湯で湿らせて、歯の表面や歯ぐきをやさしくふく
- 指サック型のシリコンブラシも便利。マッサージ効果もあり、歯ブラシへの“慣れ”にもつながります
- 1日1〜2回、特に寝る前のケアが重要
歯が8本になったら「歯ブラシデビュー」

乳歯が上下4本ずつ生えてきたら、いよいよ歯ブラシの出番です。
- 毛が柔らかく、赤ちゃんの口に合う小さいヘッドのブラシを選びましょう
- ブラシを持つのは親御さん。抱っこして膝の上に乗せる「ひざ枕スタイル」が安定します
- 1日1回でもいいので、就寝前の仕上げ磨きを習慣に
赤ちゃんが嫌がっても大丈夫。まずは「口の中に何かが入る」ことに慣れてもらうことが大切です。
フッ素はいつから使う?どれが安全?

厚生労働省の「フッ化物応用の手引き」では、1歳頃からフッ素入り歯磨き粉の使用を推奨しています。
年齢 | 使用量 | フッ素濃度(ppm) | 使用法 |
1〜2歳 | 米粒大 | 500ppm | 飲み込んでもOKな低濃度 |
3〜5歳 | グリーンピース大 | 500ppm | できれば1回すすぎ |
6歳以上 | 歯ブラシ全体に | 1000〜1450ppm | すすぎは少なめに1回 |
「うがいができない子には使えないのでは?」と思われがちですが、飲み込んでも安全な量・濃度に設計された製品が多数販売されています。
おやつと虫歯の意外な関係

虫歯は“糖分の量”よりも“口の中にある時間”でリスクが高まります。つまり「ダラダラ食べ」が一番危険です。
良い習慣 | 避けたい習慣 |
時間と回数を決める(1日2回) | おやつを常に持ち歩いて与える |
食後はお茶や水で口をゆすぐ | 甘いジュースを頻繁に飲む |
食事・おやつの後に歯磨き | だらだら食べ続ける |
虫歯は“生活習慣病”でもあるため、食べ方の工夫が何よりの予防になります。
歯科医院デビューは「1歳のお誕生日」が理想

日本小児歯科学会では「1歳になったらはじめての歯科受診を」と提唱しています。
この時期に受診することで…
- 虫歯の早期発見・予防
- 歯の生え方や噛み合わせの確認
- 歯みがき指導・フッ素塗布
- おしゃぶりや指しゃぶりの相談
…といった、幅広いサポートを受けることができます。
「歯医者は痛いところ」というイメージがつく前に、“安心できる場所”として通院習慣をつけることが、将来の健康にもつながります。
ケアグッズの選び方比較表

アイテム | 使用開始時期 | 特徴 | おすすめ用途 |
ガーゼ | 歯が1本でも出たら | 柔らかくて安心 | ふき取り・歯磨き慣らし |
シリコンブラシ | 6〜12ヶ月頃 | 指にはめて使うタイプ | 歯ぐきマッサージ |
赤ちゃん用歯ブラシ | 歯が8本生えたら | ヘッドが小さく安全設計 | 仕上げ磨き用 |
フッ素入り歯磨き粉 | 1歳以降 | 飲み込んでも安全な低濃度 | 寝る前のケアに最適 |
よくある疑問Q&A

Q. 赤ちゃんが歯磨きを嫌がるときはどうする?
→無理に磨かず、まずは「遊び感覚」で慣れることから始めましょう。音楽やお気に入りのぬいぐるみを使うのも効果的です。
Q. 歯ぎしりしているけど大丈夫?
→乳児の歯ぎしりは成長の一環とされ、基本的には心配不要です。歯が著しく削れている場合は受診を。
まとめ:乳歯のケアが、未来の歯を守る

赤ちゃんの歯は「どうせ抜けるから大丈夫」ではありません。乳歯が健康に保たれてこそ、永久歯の生え方やあごの発達がスムーズに進みます。
今日からできること:
- 歯が生えたらすぐにお口のケアスタート
- 歯ブラシ・フッ素の使用タイミングを守る
- おやつの回数と時間に注意
- 1歳での歯科デビューを忘れずに
お子さんの笑顔と健康な歯の未来のために、今こそ“歯育て”を始めましょう。毎日の小さなケアが、大きな信頼へとつながっていきます。