子どもの歯、特に乳歯は虫歯になりやすいとよく言われます。では、その予防として注目されている「シーラント」とは一体どんなものなのでしょうか?
この記事では、シーラントの基礎知識から、どのように虫歯を防ぐのか、実際の効果や注意点までを、データとともにわかりやすくご紹介します。子どもの歯を守りたいと願うすべてのパパママに向けて、歯科医師も推奨する最新の虫歯予防法をお届けします。
目次
シーラントとは?簡単に言うと「歯のコーティング」

シーラントとは、虫歯になりやすい奥歯の溝(咬合面)に、プラスチック製の樹脂を埋めてコーティングする予防処置です。食べかすやプラークがたまりにくくなるため、虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。
どんな歯に使う?
- 主に6歳臼歯(第一大臼歯)や乳歯の奥歯に使用
- 生えたての永久歯や、深い溝を持つ乳歯が対象
材料は?
- レジン系(歯科用のプラスチック)
- フッ素を放出するタイプもあり、さらに虫歯予防効果を高める
なぜ乳歯は虫歯になりやすいの?

シーラントが特に乳歯や生えたての永久歯に推奨されるのには理由があります。
理由 | 詳細内容 |
歯質がやわらかい | エナメル質が薄く、虫歯菌の酸に弱いため進行が早い |
奥歯の溝が深い | 汚れがたまりやすく、ブラッシングでは除去しきれない |
生えたばかりの歯は未成熟 | 再石灰化が起きにくく、虫歯への抵抗力が低い |
子どものセルフケアが不十分 | 歯磨きの技術が未熟なため、磨き残しが多くなる |
これらのリスクを減らす手段として、シーラントは非常に効果的とされています。
シーラントの効果はどれくらい?

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、シーラントを施した子どもは、6年間で約80%の虫歯を予防できたと報告されています。
また、日本小児歯科学会でも「小児における虫歯予防に有効」と明言しており、特に生えたての永久歯に対して高い予防効果があると推奨されています。
効果のポイント
- シーラント処置直後から物理的に歯を保護
- フッ素配合タイプなら、継続的に歯質を強化
- シーラントが破損した場合も再処置が可能
実際の処置は痛い?副作用はある?

処置は非常にシンプルで、痛みもほとんどありません。
処置の流れ
- 歯の表面をクリーニング
- 溝に接着剤を塗布
- レジンを流し込み、光で硬化
- 最後に状態確認と調整
※麻酔の必要もなく、処置時間は1本あたり5〜10分程度。
副作用・リスクは?
- アレルギーの報告は極めて少ない
- ごくまれに材料が外れることがあるが、再装着は簡単
- 材料のBPA(ビスフェノールA)への懸念はあるが、安全基準を大幅に下回る量であり、現在の歯科医療ガイドラインでも問題なしとされている
シーラントとフッ素塗布の違いは?

両者は「虫歯予防」という点では共通していますが、役割と仕組みが異なります。
項目 | シーラント | フッ素塗布 |
主な目的 | 歯の溝を物理的に封鎖し、汚れの侵入を防ぐ | 歯の再石灰化を促進し、酸に強い歯を作る |
適用範囲 | 奥歯の溝が深い部分 | すべての歯面 |
効果の持続性 | 数年(破損がなければ長期持続) | 数週間〜数ヶ月(定期的な塗布が必要) |
処置のタイミング | 生えたての奥歯(6歳臼歯など)に最適 | 幼児〜学童期まで継続的に施術可能 |
両者を併用することで、より高い虫歯予防効果が期待できます。
シーラントが必要なタイミングと年齢

特に以下のような時期にシーラントは推奨されます。
- 6歳頃:第一大臼歯(6歳臼歯)が生えてくる時期
- 9〜12歳頃:第二大臼歯が生えてくる時期
- 虫歯リスクが高い子(甘い物好き、歯磨きが苦手 など)
乳歯にもシーラントは可能で、特に奥歯の深い溝を持つ場合は早めの処置が有効です。
親として知っておきたい注意点

シーラントは万能ではなく、適切なメンテナンスや生活習慣が伴って初めてその効果を発揮します。
維持するためのポイント
- 半年に一度は歯科検診で状態をチェック
- 剥がれや破損があればすぐに再処置
- 甘い飲食物やだらだら食べの習慣を避ける
- 歯磨きの習慣も継続(シーラントがあるからといって油断しない)
また、子どもの口腔環境は成長とともに変化するため、定期的なチェックでその都度最適な予防処置を行うことが大切です。
まとめ:未来の歯を守る一歩としての“シーラント”

虫歯は子どもにとって身近なトラブルですが、早期予防で大きくリスクを減らすことができます。シーラントは「削らず・痛くない・予防効果が高い」と、三拍子そろった虫歯予防の最前線。
- 特に生えたての奥歯を守るのに最適
- 定期的な検診と組み合わせることで、長期的な虫歯ゼロも目指せる
- フッ素塗布との併用でより高い効果
小さな一手間が、子どもの未来の口腔健康に大きな影響を与えます。まだシーラントを試していない方は、ぜひ一度かかりつけの歯科医院で相談してみてください。