お子さんの歯は、生え始めてから大人になるまでの成長過程でどんどん変化していきます。だからこそ、乳歯の時期からきちんとケアしてあげることがとても大切です。しかし、「ちゃんと仕上げ磨きをしているはずなのに、気がついたら虫歯が……」なんて経験をしたことがある親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、子どもの口腔環境は大人と比べて虫歯になりやすい要素が多いと言われています。今回は、家族みんなで取り組む虫歯予防のポイントや、ブラッシングのコツをわかりやすく解説します。
子どもの歯はなぜ虫歯になりやすいの?

乳歯のエナメル質が薄い
乳歯(子どもの歯)は、大人の永久歯よりもエナメル質が薄く柔らかいのが特徴です。そのため、虫歯菌によって酸が作られると、大人の歯よりも早く溶かされてしまいます。3歳児のおよそ1割、5歳児では4割近くの子どもが虫歯を抱えているというデータがあり、乳歯期からの虫歯対策が重要視されています。
歯みがき習慣が定着しにくい
子どもはまだ自分で歯みがきの意味や正しいやり方を理解しづらく、嫌がってしまうことも多いですよね。結果としてブラッシングが不十分になりやすく、プラーク(歯垢)が残りがち。さらに、歯がしっかり生えそろっていない時期は、デコボコした部分に汚れがたまりやすい点も要注意です。
甘いものが大好き
子どもは甘いお菓子やジュースが大好き。糖分は虫歯菌のエサとなり、菌が酸を産生して歯を溶かしてしまいます。食べる量や頻度が多いほど、虫歯リスクは高まる傾向にあります。
乳歯も永久歯も大切に!虫歯が引き起こすリスク
「どうせ乳歯は生え替わるから……」と考えている方もいるかもしれません。しかし、乳歯の虫歯を放置すると永久歯の状態に影響が出ることがあるんです。
- 永久歯の歯並びが乱れる
虫歯が原因で早期に乳歯を抜歯しなければならない状況になると、隣の歯が移動して永久歯が生えるスペースが乱れ、歯並びの不正(不正咬合)に繋がる場合があります。 - 噛み合わせの問題
乳歯の段階で虫歯が進行し、部分的に欠けたまま放置すると、噛み合わせのバランスが崩れてしまう恐れも。将来的に矯正治療が必要になるケースも少なくありません。 - 食事や発音への影響
痛みや歯の欠けのせいで、よく噛めなかったり発音に支障が出たり。成長期の大切な時期に食べづらさやストレスを感じるのは、子どもの心身にも大きな負担となります。
家族でできる虫歯予防のポイント

1.食生活を見直す
甘いお菓子やジュースをダラダラ食べ・飲みする習慣を避けることが大切です。どうしても甘いものを与えるときは時間を決め、食べ終わったらすぐ歯みがきを行う、もしくはうがいをするなどして口の中を清潔に保ちましょう。
食生活の工夫 | 具体例 |
---|---|
甘いものを与える頻度管理 | おやつの時間を決める 甘い飲み物を控える |
食後のケア | 食べたらすぐ歯みがき or うがい フッ素入り洗口剤の活用 |
野菜やカルシウムの摂取 | 噛み応えのある野菜 乳製品(チーズ、ヨーグルトなど) |
2.フッ素を上手に活用
WHO(世界保健機関)や日本歯科医師会も、フッ素配合の歯みがき粉やフッ素塗布(歯科医院で行う処置)の虫歯予防効果を推奨しています。フッ素には歯の表面を強化し、溶け出した歯質の再石灰化を促す働きがあるため、子どもにも積極的に取り入れたいところ。
- フッ素配合歯みがき粉:乳児用や子ども用の低濃度フッ素入りが市販されています。年齢や歯科医師のアドバイスに応じて選ぶと安心。
- 歯科医院でのフッ素塗布:3〜6か月に一度塗布してもらうことで、虫歯リスクを大きく下げられます。
3.定期検診とクリーニング
虫歯は初期の段階では痛みがなく、気づかないまま進行することが珍しくありません。そのため、3〜4か月に1回程度の定期検診で早期発見・早期対応をすることが重要です。また、歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングで落としきれない汚れを除去してもらうと、家庭でのケアもしやすくなります。
家族で取り組む!ブラッシングのコツ

- 親子で同じタイミングで歯みがき
食後や就寝前など、家族みんなで同じ時間に歯を磨く習慣をつくると、子どもも楽しく参加しやすくなります。親の歯磨き姿を見せることで、「やってみよう!」という意欲が高まりますし、親自身の口腔ケア意識も自然と高まります。 - 仕上げ磨きは欠かさずに
子どもの自力ブラッシングは、6〜7歳ごろまでは精度が低いのが一般的。親が最後に仕上げ磨きをしてあげることで、磨き残しを減らすことができます。とくに奥歯や歯と歯の間、歯ぐきとの境目は念入りにチェックしましょう。
仕上げ磨きのポイント
・姿勢:子どもを膝の上に仰向けに寝かせたり、頭を支えて安定した状態で行うと磨きやすい
・45度の角度:歯ブラシを歯ぐきと歯の境目に対して45度に当て、小刻みに動かす。
・時間の目安:2〜3分程度。あまり長すぎると子どもが嫌がってしまうので、メリハリのある声かけを心がけましょう。 - 歯ブラシ選びも大切
子ども用の歯ブラシは、ヘッドが小さい・毛先が柔らかめであることがポイント。年齢や口の大きさに合わせてこまめにサイズや硬さを見直すことで、汚れをしっかり落としながらも歯ぐきを傷つけないようにケアできます。以下に子ども用・大人用の歯ブラシ比較表をまとめました。
種類 | ヘッドサイズ | 毛の硬さ | 適した年齢・使い方 |
---|---|---|---|
子ども用歯ブラシ | 小さめ〜極小 | やわらかめ〜ふつう | 乳幼児〜小学生向け。奥歯まで届きやすく操作しやすい |
大人用歯ブラシ | レギュラー〜コンパクト | ふつう〜かため | 親・保護者が自分の歯を磨くとき、仕上げ磨きに併用可能 |
歯みがきが嫌いな子にも使えるアイディア
歌やアプリを活用
歯みがきタイムを楽しくする工夫として、好きな音楽を流しながら行う、歯みがき専用のタイマーアプリを使うなどの方法があります。子どもが集中できる2分間程度、ゲーム感覚で取り組ませると習慣化しやすいという声も。
キャラクターグッズの歯ブラシ
お気に入りのアニメや動物キャラクターが描かれた歯ブラシを選ぶだけでも、「早く歯磨きしたい!」というモチベーションが上がります。仕上げ磨き用と自分磨き用の2本を用意しておくのもおすすめ。
親子で歯磨きチェック
子どもが自分で磨いた後、「ここはピカピカ!」「もう少し磨けるね!」と声かけをしながら仕上げ磨きを行うと、歯磨きの達成感を味わえます。鏡を見ながら一緒に確認したり、プラークチェック用の染め出し液で歯垢の残りを視覚化するのも効果的。
まとめ:乳歯の時期からのケアが未来の歯を守る鍵

いかがでしたでしょうか?子どもの歯を守るためには、食生活の工夫やフッ素の活用、定期的な歯科検診に加え、親子でのブラッシング習慣が欠かせません。乳歯の虫歯を放置すると将来の歯並びや噛み合わせにも影響を及ぼす可能性がありますが、逆に言えば、今しっかりとケアしておけば、子どもが大人になったときに健康で美しい歯を維持しやすくなるのです。
- 子どもの歯はエナメル質が薄く、虫歯になりやすい
- 甘いものの頻度・摂取量を管理し、フッ素を上手に活用
- 仕上げ磨きは6〜7歳頃までは必須!姿勢や磨き方を工夫
- 定期検診で早期発見・早期治療を心がける
家族全員で同じタイミングに歯みがきをしたり、キャラクターグッズや音楽を活用したり、楽しく続けられる工夫を取り入れてみてください。大事なのは、「どうやって歯みがきを好きになってもらうか」という視点。歯が健康であることは、お子さんの心身の成長にも大きく貢献します。ぜひ、今日から家族みんなで虫歯予防とブラッシングのコツを実践して、未来の歯を一緒に守りましょう!