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飲み物で虫歯になる?ジュースとお茶の落とし穴

飲み物で虫歯になる?ジュースとお茶の落とし穴

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~子どもの歯を守るために知っておきたい飲料選びの新常識~

「虫歯はお菓子でできるもの」——そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
 しかし実際には、“飲み物”こそが虫歯の原因になるケースが非常に多いのです。特にお子さんがいる家庭では、日常的に与えているジュースやお茶が、知らず知らずのうちに虫歯リスクを高めていることもあります。

この記事では、「飲み物が虫歯にどう関係するのか?」を科学的に解説しつつ、市販飲料の危険性や、飲ませ方の工夫、避けたいNG習慣などを、データとともにわかりやすく紹介します。


飲み物で虫歯になるメカニズムとは?

虫歯は、ミュータンス菌などの虫歯菌が糖分をエサにして酸を作り、歯を溶かす(脱灰)ことで起こります。そして驚くべきことに、ジュースやスポーツドリンクなどの「甘い飲み物」には、この“糖分”が多く含まれているのです。

また、酸性の飲み物(pH5.5以下)は、歯の表面を直接溶かす「酸蝕症」のリスクもあります。つまり、飲み物が甘いか酸っぱいかは、どちらも歯にとってダメージになり得ます。


市販飲料の糖分&酸性度ランキング

以下に、市販飲料の糖分量と酸性度を比較した表を示します(※文部科学省「食品成分データベース」および一部製品表示より)。

飲み物名糖分(100ml中)pH値(酸性度)虫歯リスク
コーラ約11g2.2非常に高い
オレンジジュース約9g3.5高い
スポーツドリンク約6g3.3高い
乳酸菌飲料(子ども用)約10g3.6高い
果汁入り清涼飲料約8g3.8高い
緑茶(無糖)0g6.2低い
麦茶(無糖)0g6.5低い
0g7.0ほぼなし

※pH5.5以下で脱灰が始まるとされる

このように、「甘さが控えめに見える」スポーツドリンクや、「体に良さそうな」果汁飲料でも、実は歯にとっては大敵となることがあります。


お茶なら安心?実は見落としがちな落とし穴

「ジュースは避けているけど、お茶は毎日飲ませてるから大丈夫」
 …実は、そうとも言い切れません。

緑茶や麦茶などの無糖のお茶は虫歯リスクが低く、推奨される飲料です。しかし、以下のような“甘いお茶”や“加糖された飲料”は、ジュースと変わらないリスクがあります。

注意が必要な“お茶系飲料”の例

飲料名内容
加糖緑茶甘みのあるペットボトル緑茶(子ども用など)
ミルクティー砂糖+乳脂肪で虫歯菌の好物に
はちみつ入りレモンティー酸+糖でダブルダメージ

また、ボトル入り飲料の多くは酸味を出すためにクエン酸やリンゴ酸が添加されていることが多く、知らぬ間に酸蝕症のリスクを高めてしまうこともあります。


子どもの虫歯を防ぐ「飲み方」の工夫

飲み物の種類だけでなく、飲み方・与え方にも虫歯予防のヒントがあります。

1. だらだら飲みを避ける

飲むたびに口内が酸性になり、歯が再石灰化する時間が奪われます。ジュースは食後やおやつ時だけにするのが理想です。

2. 寝る前の甘い飲み物はNG

夜間は唾液の分泌が減り、虫歯菌の活動が活発に。寝る前の哺乳瓶やミルク、ジュースは避けるようにしましょう。

3. 飲んだ後は水やお茶で口をゆすぐ

糖分や酸が歯に長く残らないように、水を飲んだり口をゆすぐことが効果的です。


歯科医師がすすめる「安心な飲み物」

飲料推奨理由
中性・無糖・洗浄効果もある
麦茶無糖・カフェインレスで子どもにも安心
無糖緑茶抗菌作用があるが、カフェインに注意(子どもは少量)
白湯体に優しく常飲向き

「飲み物で虫歯になるリスクを下げたい」と思ったら、まずは「糖分ゼロ・酸性度が低い・頻繁に飲んでも安心」な飲料を選ぶのが基本です。


「無添加=安全」とは限らない?注意したいラベルの読み方

最近では、「無添加」「保存料不使用」といった表示がある飲料も増えていますが、無添加=無糖、無酸ではないという点に注意が必要です。

チェックすべきポイント:

  • 成分表示欄に「果糖ブドウ糖液糖」「砂糖」「はちみつ」などがないか

  • pH値や酸味料(クエン酸、リンゴ酸など)の有無

  • 「果汁○%」とある場合は、果糖含有を想定すること

“体に優しそう”に見える飲料こそ、裏側を確認してから選びましょう。


まとめ:飲み物の選び方で子どもの歯を守ろう

飲み物は毎日のことだからこそ、虫歯予防に直結する大切な習慣です。甘いものを完全に排除するのは難しくても、「いつ・何を・どう飲むか」の意識を変えるだけで、虫歯のリスクは大きく減らせます

この記事のポイント:

  • ジュース・スポーツ飲料・加糖ミルクティーは虫歯リスクが高い

  • 無糖のお茶や水を常飲に。甘い飲料は特別な時に限定を

  • 飲んだ後は水やお茶でリセット、だらだら飲みを避ける

  • 成分表示とpHを見て、酸や糖を見極める力を持つ

お子さんの大切な歯を守る第一歩は、意外にも「飲み物の見直し」から始まるかもしれません。歯磨きとあわせて、今日からできる飲み物習慣、始めてみませんか?

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