ストレスが歯周病を悪化させる?ホルモンとの関係性

ストレスが歯周病を悪化させる?ホルモンとの関係性

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「仕事や家庭のストレスが多いと、なぜか歯ぐきが腫れる」
「歯磨きはしているのに歯周病が治らない」

このような経験はありませんか?

実は、ストレスと歯周病は深く関係しています。
その鍵を握るのが、体内で分泌されるストレスホルモンです。

歯周病は“細菌感染症”でありながら、精神状態や自律神経、ホルモンバランスの影響を強く受ける病気でもあります。

この記事では、ストレスがなぜ歯周病を悪化させるのか、
体内のホルモンとの関係性、そして今日から取り組める改善法まで詳しく解説します。


ストレスが歯周病に関係する理由

ストレスを受けると、人の体は自律神経や免疫バランスが変化します。
その変化が、歯周病の進行に大きく影響します。

以下の3つが特に重要です。

  1. 免疫力の低下で歯周病菌が増殖しやすくなる
  2. 唾液が減り口内が乾燥する
  3. 歯ぎしり・食いしばりが強くなる

これらが重なることで、歯周病が爆発的に悪化することがあります。


ストレスが引き起こすホルモンの変化

ストレスがかかると脳の視床下部が反応し、
副腎から「コルチゾール」というストレスホルモンが分泌されます。

コルチゾール(ストレスホルモン)の主な作用
  • 炎症を悪化させる
  • 免疫を抑制する
  • 血糖値を上げる
  • 体を“戦闘モード”にする

特に免疫抑制作用は歯周病に深く関係しています。

本来、免疫細胞は歯ぐきの炎症を治す働きをしますが、
コルチゾールが増えると免疫の力が低下し、細菌が増殖しやすくなってしまうのです。


ストレスが歯ぐきに与える影響を分解してみる

以下は、ストレスが口腔内に及ぼす影響をまとめた比較表です。

ストレス反応口腔内への影響結果
コルチゾール増加免疫力低下歯周病菌が増えやすい
自律神経の乱れ唾液減少・口内乾燥細菌増殖・口臭悪化
食いしばり歯ぐきへの圧力増加骨が炎症しやすくなる
生活習慣の乱れ歯磨きの質低下歯垢が溜まり歯周病進行

このように、ストレスはさまざまなルートから歯周病の悪化に関与します。


ストレスが溜まっている人に多く見られる症状

以下に3つ以上当てはまる場合、ストレス由来の歯周病悪化の可能性があります。

□ 朝起きたとき、歯ぐきが腫れている
□ 歯ぎしり・食いしばりの自覚がある
□ 口の中が乾きやすい
□ 最近疲れが取れにくい
□ 歯磨きが面倒に感じる
□ 食生活が乱れている
□ 舌に歯の跡がつく(食いしばりの証拠)

ストレスは無意識のうちに“口の中”にも表れるのです。


食いしばり・歯ぎしりが歯周病悪化の決定打になる理由

ストレスで食いしばりが増えると、歯を支える骨(歯槽骨)に強い負荷がかかります。

その結果…

  • 歯ぐきが炎症しやすくなる
  • 歯周ポケットが深くなる
  • 歯が揺れやすくなる
  • 歯周病が急速に悪化する

歯周病治療中でも、食いしばりがあるだけで治りが悪くなることが分かっています。

特に就寝中の歯ぎしりは、自分の体重の2〜3倍の力が歯にかかるため、骨や歯ぐきを弱らせる大きな要因です。


ストレスによる唾液減少も口腔内環境を悪化させる

ストレスが強いと自律神経のバランスが崩れ、
唾液の分泌を司る副交感神経がうまく働かなくなります。

その結果として…

  • 口内が乾燥する
  • 細菌が増えやすくなる
  • 歯垢が歯の表面にこびりつく
  • 舌苔が増えて口臭が強くなる

唾液は“天然のマウスウォッシュ”とも呼ばれるほど抗菌力が高いため、唾液低下は歯周病悪化の大きな原因となります。


ストレスによる歯周病悪化を防ぐための対策

では、ストレスと歯周病の悪循環を断ち切るにはどうすればいいのでしょうか?

歯科での対策

定期的な歯石除去(スケーリング)

炎症の元である歯石を徹底的に取り除くことで、歯周病の進行を抑制できます。

マウスピース(ナイトガード)を使用

食いしばりで歯ぐきや骨にかかる負担を軽減します。

抗菌・抗炎症の歯周治療

ポケット内の細菌を減らし、炎症を抑える治療を行います。


自宅でできる対策

口の中を乾燥させない工夫
  • よく噛む食事
  • 水分補給
  • 口呼吸を改善
歯磨きと歯間ケアの徹底

歯周病は「歯ブラシだけ」では不十分です。
フロスや歯間ブラシを毎日使用しましょう。

ストレス対策(生活習慣の見直し)
  • 6時間以上の睡眠
  • 深呼吸や瞑想
  • 軽い有酸素運動
  • 休息を意識的に取る

ストレスそのものをゼロにはできませんが、
「溜めない工夫」で歯周病悪化を防ぐことができます。


まとめ:ストレスと歯周病は密接に関係している

  • ストレスで分泌されるホルモン(コルチゾール)は歯周病を悪化させる
  • 唾液減少・免疫力低下・歯ぎしりが重なると進行スピードが急加速
  • 歯周病治療は“心と体のケア”とセットで考えるのが大切
  • 歯科でのケア+生活習慣改善で口内環境は大きく変わる

ストレスは見えない敵ですが、
少しのセルフケアと適切な歯科治療で“歯ぐきの状態は確実に良くすることができます”。

歯周病が気になる方は、まずはできる対策から一歩ずつ始めてみましょう。

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