「歯石ってちょっと付いてるだけなら問題ないんじゃない?」
そんなふうに思っていませんか?
実は、歯石は単なる“汚れ”ではありません。放置することで口の中だけでなく、全身の健康にまで影響を及ぼす恐れがある「細菌の塊」なのです。この記事では、歯石除去の必要性と、放置によって引き起こされる5つの深刻なリスクをわかりやすく解説します。
歯石とは?歯垢との違い

まずは歯石がどういうものかを理解しておきましょう。
項目 | 歯垢(プラーク) | 歯石 |
性質 | 柔らかく白っぽい | 硬く石灰化している |
形成までの期間 | 食後すぐに付着 | 歯垢が2~3日放置されて硬化 |
除去方法 | 歯磨きで落とせる | 歯磨きでは落とせず、歯科で除去が必要 |
歯垢は食べかすや細菌が混ざったもので、きちんと歯磨きすれば除去できます。しかし、それを放置すると唾液中のカルシウムなどと反応し、石のように固まってしまいます。これが「歯石」です。
表面がザラザラしているため、さらに細菌や汚れが付きやすくなり、悪循環が生まれます。
歯石を放置すると起こる5つのリスク

では、歯石を放置するとどうなるのか?ここでは、特に注意すべき5つのリスクをご紹介します。
1. 歯周病の進行
最も深刻なのが「歯周病」です。歯石の中には大量の歯周病菌が潜んでおり、歯茎に炎症を起こします。初期には出血や腫れといった軽い症状ですが、進行すると以下のような状態に。
- 歯茎が下がる
- 歯がぐらつく
- 最悪の場合、歯が抜け落ちる
日本人の成人の約8割が歯周病予備軍または罹患していると言われており、歯石の除去はその予防・進行抑制に直結します。
2. 口臭の悪化
歯石が蓄積していると、口の中に嫌なニオイを放つ細菌が繁殖しやすくなります。特に舌の裏や奥歯の歯石は、普段の歯磨きでは届かないため、自覚しにくいのが厄介です。
- 「最近、口臭が気になる…」
- 「人と近づいて話すのが気が引ける」
そんな悩みの裏には、実は歯石が原因というケースも少なくありません。
3. 虫歯になりやすくなる
歯石そのものは虫歯の直接的な原因ではありませんが、以下のような「虫歯を誘発する環境」を作り出します。
- 歯と歯の隙間に汚れがたまりやすくなる
- 正しい歯磨きがしにくくなる
- 細菌の酸でエナメル質が溶けやすくなる
歯石があると、どれだけ丁寧に歯磨きしても「磨いたつもり」でしかないケースが多いのです。
4. 全身疾患との関係
近年注目されているのが、「歯周病と全身疾患の関係」です。歯石が原因で歯周病が進行し、その炎症性物質や細菌が血流に乗って全身へ巡ることで、以下のような疾患との関連が指摘されています。
疾患名 | 関連性のある理由 |
糖尿病 | 歯周病菌がインスリンの働きを妨げる |
心筋梗塞・脳梗塞 | 血管内に炎症を引き起こし、動脈硬化を促進 |
低体重児出産 | 妊婦の歯周病が胎児の発育に悪影響を及ぼす |
つまり、口の健康管理は全身の健康管理にもつながっているのです。
5. 見た目の悪化と老け顔印象
歯石は歯の色をくすませたり、歯と歯茎の境目を黒ずませたりと、見た目にも悪影響を及ぼします。特に前歯に付着した歯石は非常に目立ちやすく、「不潔な印象」「老けた印象」を与えてしまいます。
また、歯茎が下がると顔全体がたるんで見えたり、ほうれい線が深くなったりと、美容面でもデメリットが生じます。
歯石除去はどこでできる?どれくらいの頻度が必要?

歯石は一度ついてしまうと、自宅のケアでは除去できません。必ず歯科医院での「スケーリング(歯石除去)」が必要です。
- 一般的な目安:3~6ヶ月に1回
- 歯周病リスクが高い人は2~3ヶ月に1回がおすすめ
歯石除去は保険診療の範囲内で行えるケースが多いため、費用負担も比較的軽く済みます(おおよそ3,000円前後)。
歯石が付きにくくなる予防法

毎日しっかりケアをすれば、歯石の付着を大幅に防ぐことができます。以下のポイントを押さえておきましょう。
- 歯ブラシだけでなく「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」も使用
- 電動歯ブラシの活用で磨き残しを減らす
- 食後はできるだけ早めに歯磨きをする
- 就寝前の丁寧なブラッシングが特に重要
- 唾液の分泌を促すために水分補給やガムも有効
完璧を目指すのではなく、“継続できる習慣”を意識しましょう。
まとめ:歯石除去は、未来の自分への投資

歯石を「ただの汚れ」と軽く考えるのは非常に危険です。放置すれば、口臭・虫歯・歯周病だけでなく、全身の健康リスクや美容面にも深刻な影響を及ぼします。
半年に一度の歯石除去は、ほんの数十分で終わる「未来の自分への健康投資」です。
口の中がスッキリすると気分も前向きになり、人との会話や笑顔にも自信が持てるようになります。
あなたも今日から、歯石除去の習慣をはじめてみませんか?