歯石除去の効果とは?放置によるリスクと予防法

歯石除去の効果とは?放置によるリスクと予防法

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「歯石は見た目が悪いだけで、放っておいても大丈夫」と思っていませんか?
実は、歯石を放置することは口腔内の健康だけでなく、全身の健康リスクにもつながるおそれがあります。

この記事では、歯石除去の具体的な効果や、歯石を放置することによるリスク、そして日常でできる予防法について、歯科の専門的な観点からわかりやすく解説します。


歯石とは?歯垢との違いを理解しよう

歯石とは、歯垢(プラーク)が唾液中のカルシウムやリンと結合して石灰化したものです。

見た目は黄色や茶色で、特に下の前歯の裏側や奥歯の外側などに付きやすく、一度つくと歯ブラシでは落とせません。

歯垢と歯石の違いを表にまとめました:
項目歯垢(プラーク)歯石
状態柔らかくネバネバしている硬く石のようになる
落とし方歯ブラシで落とせる歯科医院での除去が必要
細菌の数非常に多い(1g中1,000億個以上)歯垢より少ないが表面がざらつくため再付着しやすい
形成までの期間食後数時間で形成2〜3日で石灰化し始める

歯石除去の4つの主な効果

歯周病の予防・改善

歯石の表面はざらついており、そこに歯垢が再び付着しやすくなります。
結果的に歯周病菌が繁殖しやすい環境になり、歯ぐきの炎症(歯肉炎)や歯周病の進行につながります。
歯石除去によってこの「悪循環」を断ち切ることができます。

口臭の軽減

歯石の中や周囲に潜む細菌は、タンパク質を分解する過程で揮発性硫黄化合物(VSC)という臭い成分を発生させます。
これが強い口臭の原因となるため、歯石除去は口臭ケアの第一歩とも言えます。

審美性の向上

特に前歯に歯石が付着していると、見た目にも黄ばんだ印象を与えます。
除去することで清潔感のある口元を取り戻すことができ、自然な笑顔に自信が持てるようになります。

歯の寿命を延ばす

歯周病によって歯を支える骨が溶けると、最悪の場合は歯が抜けてしまいます。
定期的に歯石を除去することで、歯ぐきや骨の健康を守り、歯の寿命を延ばすことができます。


歯石を放置するとどうなる?5つのリスク

リスク項目内容
歯周病の進行歯ぐきの炎症→歯槽骨の破壊→歯の脱落
口臭の悪化細菌の分解による臭い成分の増加
虫歯のリスク増加歯石ができた場所は磨き残しが多くなる
全身疾患の原因糖尿病、心臓病、誤嚥性肺炎などとの関連が報告されている
審美的な問題黄ばみや歯ぐきの黒ずみによる印象ダウン

歯石除去の方法と費用相場

歯科医院でのスケーリング

スケーラーという器具で歯石を機械的に除去します。
大きな歯石には超音波スケーラー、小さな歯石には手用スケーラーが使われます。

治療名内容費用(目安)
スケーリング(保険診療)超音波による歯石除去約1,500円〜3,000円(3割負担の場合)
PMTC(自費診療)専門的な器具でのクリーニング約5,000円〜15,000円

※金額は医院や地域によって異なります。


歯石をつくらないための予防法

正しいブラッシング習慣を身につける

歯石のもとになる歯垢は、毎日のブラッシングで取り除けるため、磨き残しを減らすことが予防の基本です。
特に、歯と歯ぐきの境目や奥歯の裏側など、見えにくい部分まで丁寧に磨きましょう。

デンタルフロス・歯間ブラシの併用

歯ブラシだけでは6割程度の歯垢しか除去できないと言われています。
歯と歯の間はデンタルフロスや歯間ブラシを使って清掃することで、歯石の原因を大幅に減らせます。

食生活の見直し

糖分が多い食事は歯垢の形成を助けるため、バランスの取れた食事が予防につながります。
また、唾液分泌を促す食材(繊維質やガムなど)も効果的です。


定期検診が歯石予防のカギ

歯石は2〜3日で形成が始まり、1週間〜10日で石のように固くなるとされています。
一度できた歯石はセルフケアで落とせないため、3〜6ヶ月ごとの定期検診とプロによるクリーニングが非常に重要です。

歯科医院では、歯石の付着状況をチェックしながら、歯周ポケットの深さや出血の有無なども測定されるため、歯周病の早期発見にもつながります。


まとめ:歯石除去で健康と清潔感を手に入れよう

歯石はただの見た目の問題ではありません。
その裏には歯周病や口臭、さらには全身疾患のリスクまで隠れている可能性があります。

毎日のセルフケアと、定期的なプロのケアを組み合わせることで、口腔環境は大きく改善されます。
ぜひ、半年に一度の定期検診を「歯の健康投資」と考え、今できるケアを始めましょう。

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