一度治療した歯なのに、数年後にまた同じ場所が虫歯に…そんな経験はありませんか?実は、虫歯の再発(2次カリエス)はとても多く、厚生労働省の調査によると、日本人が歯を失う主な原因の1つがこの「虫歯の再発」といわれています。
特に詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)をしている歯は、境目から再度虫歯になりやすいため、正しいケアと予防意識が不可欠です。
今回は、虫歯が再発する原因と、詰め物・被せ物を長持ちさせるための具体的なケア方法をご紹介します。
目次
虫歯の再発はなぜ起こる?

詰め物や被せ物をしたからといって、完全に安心とは言えません。以下のような理由で、再び虫歯になるリスクが高まります。
歯と修復物の境目に隙間ができる
時間の経過とともに、噛み合わせや摩耗などの影響で、詰め物と歯の間にわずかな隙間ができることがあります。ここにプラーク(歯垢)が溜まると、虫歯菌が侵入して再感染を引き起こします。
プラークコントロール不足
被せ物や詰め物の周囲は清掃が難しく、特に歯と歯の間や歯ぐきの近くにプラークが残りやすくなります。定期的なケアを怠ると、虫歯だけでなく歯周病の原因にもなります。
セメントの劣化
補綴物を固定するセメント(接着剤)も、時間とともに劣化することがあります。特に噛み合わせが強い部分はその影響を受けやすく、再治療が必要になるケースもあります。
詰め物・被せ物の素材による違い

虫歯の再発リスクは、使われている素材によっても左右されます。以下に主な素材を比較してみましょう。
素材 | 特徴 | 耐久性 | 虫歯の再発リスク |
銀歯(保険) | 金属で強度が高いが見た目が悪い | 約5〜7年 | やや高い(隙間ができやすい) |
セラミック | 審美性が高く歯に馴染みやすい | 約10年 | 低め(精度が高く隙間が少ない) |
ジルコニア | 強度・審美性ともに優秀 | 約10〜15年 | 非常に低い |
レジン(プラスチック) | 安価だが摩耗・変色しやすい | 約3〜5年 | 高い |
つまり、精度の高い素材を選ぶことも虫歯の再発を防ぐポイントのひとつです。
正しいセルフケアのポイント

日常のセルフケアをしっかり行うことで、再発のリスクを大幅に下げることができます。
歯ブラシのあて方に注意
被せ物・詰め物の周囲は、境目に沿って丁寧にブラッシングしましょう。硬すぎる歯ブラシや強い力は歯ぐきを傷つけ、隙間を悪化させることがあるため注意が必要です。
フロス・歯間ブラシの併用
歯と歯の間、特に被せ物がある部分はプラークが溜まりやすいため、フロスや歯間ブラシの使用を習慣にすることが重要です。歯科医からサイズや使い方を指導してもらうのがおすすめです。
フッ素配合の歯磨き粉を活用
フッ素は歯質を強化し、再石灰化を促す効果があります。虫歯予防の基本として、毎日のケアに取り入れましょう。
プロのメンテナンスで早期発見

詰め物や被せ物のトラブルは、初期には自覚症状が出にくいのが特徴です。そのため、定期的なプロのチェックが欠かせません。
歯科医院でのチェックポイント
- 詰め物の浮きやズレ
- セメントの劣化や変色
- 歯ぐきの炎症・腫れ
- 咬合の変化(噛み合わせのズレ)
これらを定期的に診てもらうことで、再発を防ぎ、結果として治療回数や費用を抑えることができます。
被せ物・詰め物のトラブルに気づくサイン

自覚症状がないまま進行するケースが多い虫歯の再発ですが、次のようなサインがある場合は早めの受診が必要です。
- 噛んだときに違和感や軽い痛みがある
- 冷たいものや甘いものがしみる
- 詰め物の縁に舌が引っかかる
- 歯ぐきが腫れたり、出血することがある
- 補綴物がグラグラする・外れかけている
これらは再治療のサインである可能性があります。早期に対応すれば、神経を残すことができたり、治療も比較的簡単で済みます。
生活習慣も見直そう:再発予防の裏側にある習慣

虫歯の再発には、実は「生活の癖」も大きく影響しています。
- 夜更かしや睡眠不足:唾液の分泌量が減り、虫歯菌が活発になります。
- 間食の回数が多い:口内が酸性に傾く時間が長くなり、歯の再石灰化が追いつきません。
- ストレス:食いしばり・歯ぎしりにより補綴物にダメージが蓄積されることも。
これらを踏まえて、生活リズムや食事、ストレスケアまで含めた「総合的な予防」を意識することが大切です。
再治療にならないために意識したい習慣

意識するポイント | 効果 |
定期的な歯科検診(年2〜3回) | 初期段階で異変を発見できる |
糖分の摂取を控える | 虫歯菌の活動を抑える |
寝る前の丁寧なケア | 唾液の分泌が減る夜間は虫歯リスクが上昇 |
食べかすを残さない | 被せ物の下に汚れが入り込むのを防ぐ |
まとめ:補綴物も「自分の歯」として大切に

詰め物や被せ物をした歯は、言わば「治療によって延命された歯」です。見た目がきれいでも、内部に異常が進んでしまうことは珍しくありません。
虫歯の再発を防ぐには、素材選び・日々のケア・歯科医院での定期管理の「三本柱」が大切です。「もう治したから大丈夫」ではなく、「これから守っていく」という視点で歯と向き合ってみましょう。