子どもの歯が永久歯に生え変わる時期は、保護者にとっても大きな関心事です。しかし、いざ乳歯が抜ける時期になっても「なかなか抜けない」「グラグラしているのにしぶとく残っている」といった状況が起こると、不安になる方も多いのではないでしょうか。
今回は「乳歯が抜けないことによるリスク」と「適切な対応」「永久歯との関係」について詳しく解説します。
目次
乳歯から永久歯への生え変わりの基本スケジュール

子どもの歯は、6歳頃から順次永久歯へと生え変わっていきます。以下の表は、一般的な生え変わりの時期を示しています。
| 歯の種類 | 生え変わり時期(目安) |
| 下の前歯 | 6~7歳 |
| 上の前歯 | 7~8歳 |
| 第一大臼歯(6歳臼歯) | 6歳頃(乳歯の後ろに生えてくる) |
| 犬歯 | 9~12歳 |
| 小臼歯(乳臼歯との交代) | 10~12歳 |
| 第二大臼歯 | 12~13歳 |
※個人差があり、半年~1年ほど前後することもあります。
乳歯が抜けない原因とは?

乳歯が予定通り抜けない背景には、以下のような原因が考えられます。
・永久歯の位置異常:永久歯が本来の位置ではなく、ずれた位置に生えてくる(例:舌側や頬側)
・癒合歯や乳歯の根の吸収不全:通常、永久歯の圧力で乳歯の根が吸収されるが、それがうまく起こらない
・乳歯の晩期残存:加齢や外傷、発育異常により、抜けるべき時期に乳歯が残ってしまう
放置するとどうなる?5つのリスク

1. 永久歯の歯並びが乱れる
乳歯が抜けないことで、永久歯が生えるスペースが足りなくなり、叢生(歯のガタガタ)や出っ歯、八重歯などの不正咬合を招く可能性があります。
2. 永久歯が別の場所から顔を出す
本来の位置にスペースがないと、永久歯が内側や外側から生えてくることがあり、矯正治療が必要になることも。
3. 虫歯・歯周病のリスクが高まる
二重歯列になることで歯磨きがしにくくなり、虫歯や歯肉炎のリスクが上昇。
4. 顎の成長に影響する
正常な咬み合わせができないことで、上下の顎のバランスが崩れる恐れがあります。
5. 発音・咀嚼に問題が出る
歯の位置が不適切だと、発音が不明瞭になったり、食べ物をうまく噛めなくなるケースも。
乳歯が抜けないときの対応法

では、実際に「乳歯が抜けない」ときはどうすれば良いのでしょうか。
歯科医院での診断が最優先
まずは歯科医院でレントゲン検査を行うことが推奨されます。
・永久歯の位置や状態の確認
・乳歯の根の吸収具合をチェック
・抜歯が必要かどうかを判断
抜歯が必要なケースとは?
以下のような場合、乳歯の抜歯を検討することがあります。
・永久歯がすでに生えてきているのに乳歯がしぶとく残っている
・永久歯の生える方向がずれている
・歯並びや顎の成長に悪影響が出る可能性が高い
知っておきたい!抜歯の影響と注意点

乳歯の抜歯と聞くと不安になるかもしれませんが、以下のような点を知っておくと安心です。
麻酔と処置は安全に行われる
通常、局所麻酔を使用し、短時間で安全に処置が可能です。
抜歯後のケアが重要
・うがいは控える(血が止まりにくくなるため)
・強い運動やお風呂は数時間控える
・食事は柔らかく、刺激の少ないものを
正しいタイミングでの対応がカギ

歯の生え変わりの異常を早期に見つけて対応することで、後々の矯正治療を回避できる可能性が高まります。
| 状況 | 対応 |
| 乳歯がぐらつかない&永久歯が見え始めている | 歯科でレントゲン検査を受ける |
| 二重歯列(乳歯と永久歯が並列)になっている | 抜歯を含めた治療を検討 |
| 永久歯が変な場所から生えてきている | 矯正医の紹介を受けることも |
まとめ:子どもの歯の生え変わりは“見守りすぎ”ないことも大切

「そのうち抜けるだろう」と思って見守っているうちに、永久歯の歯並びや健康に悪影響が及ぶこともあります。少しでも「おかしいな?」と感じたら、早めに歯科医院に相談することがベストです。
近年では、歯列不正の予防を目的とした小児矯正や予防抜歯も進んでおり、乳歯の状態と永久歯の萌出を専門的に診断することができます。
適切な対応で、健康で美しい歯並びを育てていきましょう。