歯の生え変わり期に気をつけたい「噛み合わせのズレ」

歯の生え変わり期に気をつけたい「噛み合わせのズレ」

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お子さんの歯が生え変わる時期、
「なんだか前歯が合っていない気がする」「下の歯がずれているように見える」
と感じたことはありませんか?

実は、歯の生え変わり期(6〜12歳ごろ)は「噛み合わせのズレ」が起こりやすい時期です。
この時期のズレは一時的なものも多いですが、放置すると将来の歯並びや顎の発達に影響を与えることがあります。

この記事では、噛み合わせのズレが起こる原因と、見逃してはいけないサイン、
そして家庭でできる対策や歯科での対応を、わかりやすく解説します。


生え変わり期は噛み合わせが不安定になる時期

6歳前後になると、乳歯が抜け、永久歯が生え始めます。
この「混合歯列期(こんごうしれつき)」は、乳歯と永久歯が混ざっている不安定な時期であり、
歯列も顎の成長も急速に変化します。

乳歯が抜けた場所に新しい永久歯が生えてくるまで時間がかかるため、
上下の歯が正しく噛み合わず、一時的にズレた噛み合わせになるのです。

また、永久歯は乳歯よりも大きく、位置や角度にも個人差があります。
そのため、わずかなズレが積み重なると、全体のバランスが崩れて見えることがあります。


噛み合わせのズレが起こる主な原因

原因内容特徴
顎の成長バランス上下の顎の発育スピードの違い下顎が前に出たり、奥歯がずれたりする
歯の生える順序永久歯が予定より早く・遅く生える前歯の傾き・片側のズレ
乳歯が抜けるタイミング抜けるのが早すぎ・遅すぎ永久歯のスペース不足
指しゃぶり・口呼吸舌や唇の圧力で歯列が変形出っ歯・開咬(上下の歯が閉じない)
噛みぐせ片側ばかりで噛む顎が左右非対称に発達
姿勢の悪さ首・肩・顎のバランスが崩れる噛み合わせが歪む

最近はスマートフォンやタブレットの長時間使用で前傾姿勢になり、
顎の位置が後ろに下がる「姿勢性の噛み合わせズレ」も増えています。


正常な噛み合わせとズレのある噛み合わせの違い

比較項目正常な噛み合わせズレがある噛み合わせ
前歯の位置上の前歯が下の前歯を軽く覆う上下の前歯がずれている・隙間がある
奥歯の位置上の奥歯が下の奥歯にぴったり噛み合う片側だけズレている
歯列の形両側対称でU字型片側が狭い・歪みがある
噛みしめたとき左右同時に当たる一方だけ強く当たる
顎の動き開閉がまっすぐ開けるときに顎が横に動く

このように、見た目だけでなく、噛むときの「力のバランス」にも違いが現れます。
特に、顎が横にずれる場合は、骨格の成長にも影響を及ぼすことがあります。


放置するとどうなる?将来への影響

一時的なズレなら問題ありませんが、長期間続くズレは注意が必要です。

放置した場合の影響説明
歯並びの乱れ永久歯が傾いて生える・重なって生える
顎の変形片側の顎が発達しすぎる(顔の左右差)
噛み合わせ不良食べ物を噛みにくい・顎に負担がかかる
顎関節への負担開け閉めで痛み・音が出ることがある
姿勢や呼吸への影響口呼吸・猫背・肩こりの原因にもなる

このように、噛み合わせのズレは「口の中」だけの問題ではなく、
体全体のバランスにも関係しているのです。


家庭で気づける「噛み合わせのズレ」のサイン

保護者が気づきやすいチェックポイントを紹介します。

1.口を閉じたとき、上下の前歯の真ん中がズレている

2.笑ったとき、歯の並びが左右非対称に見える

3.食事中、片側ばかりで噛んでいる

4.顎を開けるとカクッと音がする

5.寝ているときに口が開いている(口呼吸)

これらに当てはまる場合は、歯科医院での相談をおすすめします。
早めに診断を受けることで、矯正治療をしなくても改善できるケースもあります。


歯科での早期対応法

小児歯科や矯正歯科では、噛み合わせのズレを成長段階に合わせて治していきます。

方法内容対象年齢
スペースコントロール永久歯が生えるスペースを確保6〜9歳
拡大床(かくだいしょう)顎を少しずつ広げて歯列を整える成長期の子ども
マウスピース型装置軽度のズレを誘導する7〜10歳
MFT(口腔筋機能療法)舌・唇の使い方をトレーニングどの年齢でも可能
咬合誘導奥歯や前歯の位置を調整永久歯が生えそろう前まで

これらの治療は「歯を動かす矯正」とは異なり、
顎の成長を利用して自然な歯列に導くのが特徴です。

6〜10歳ごろに適切な対応を行うことで、将来的に大掛かりな矯正を避けられるケースも多くあります。


家庭でできる噛み合わせ予防とサポート

1.よく噛む食習慣を育てる
 硬すぎない程度に、噛み応えのある食材(肉・野菜・海藻など)を取り入れましょう。
 噛む刺激が顎の成長を促します。

2.口呼吸を防ぐ
 鼻呼吸を意識するだけで、舌の位置や顎のバランスが整います。

3.姿勢を整える
 食事中やスマホ使用時、頭が前に出る「猫背姿勢」は顎の位置を後退させます。
 椅子に深く座り、背筋を伸ばす習慣を。

4.舌の正しい位置を意識する
 舌の先を上の前歯の少し後ろ(上顎の天井)につけるのが正しい位置です。


噛み合わせチェックは「定期検診」で

混合歯列期は、3〜6か月に一度の定期検診で噛み合わせの状態を確認してもらうことが理想です。
歯の生え方、顎の成長、姿勢などを総合的にチェックすることで、
「ズレ」が問題化する前に対策を取ることができます。

また、歯科医院ではレントゲンで永久歯の位置や角度を確認できるため、
「まだ見えていない歯の将来のズレ」まで予測可能です。


まとめ:成長期の「ズレ」は見逃さず、今がチャンス

噛み合わせのズレは、成長の中で自然に起こる変化でもあります。
しかし、早めに気づいて対応することで、歯並びも噛み合わせもより良く成長させることができます。

  • 混合歯列期(6〜12歳)は噛み合わせが不安定

  • ズレの原因は顎の成長・習癖・姿勢など多岐にわたる

  • 放置すると歯並びや顔のバランスに影響

  • 早期の矯正誘導やMFTで自然な改善が可能

お子さんの笑顔を守るためには、「見た目」だけでなく「噛み合わせ」も大切。
気になるサインを見つけたら、ぜひ一度歯科医院でチェックしてみましょう。

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