「冷たい水やアイスを口に入れた瞬間、キーンと歯がしみる…」
そんな経験はありませんか?
これは多くの場合「知覚過敏」と呼ばれる症状で、国内でも成人の約3人に1人が悩んでいるとされます。
しかし、この症状を悪化させる“やってはいけない習慣”があることは、意外と知られていません。
今回は、知覚過敏の仕組みとNG習慣、改善方法まで、専門的な情報をわかりやすく解説します。
目次
知覚過敏の仕組みと冷たい刺激の関係

知覚過敏は、歯の表面を覆うエナメル質がすり減ったり、歯茎が下がったりして、内側の「象牙質」が露出することで起こります。
象牙質には「象牙細管」という無数の細い管があり、その先には歯の神経(歯髄)があります。冷たい水が象牙細管を通って刺激を与えると、神経に届き「キーン」という痛みが発生します。
冷たい水がしみる人がやりがちな“やってはいけない習慣”

以下の習慣は、知覚過敏を悪化させる原因になります。
硬い歯ブラシでゴシゴシ磨く
硬い毛の歯ブラシで力強く磨くと、エナメル質や歯茎が傷つきやすく、歯茎が下がって象牙質が露出しやすくなります。
特に力を入れた横磨きは歯の表面を削る原因になるため要注意です。
酸性の飲食物を頻繁に摂取する
炭酸飲料、スポーツドリンク、柑橘類、ワインなど酸性度の高い飲食物は、歯のエナメル質を溶かす「酸蝕症」の原因になります。
酸で柔らかくなった歯をすぐにブラッシングすると、さらに削れやすくなります。
食後すぐの歯磨き
特に酸性の食事や飲み物の後、すぐに歯磨きをするのはNGです。酸によって一時的に柔らかくなったエナメル質が削れやすくなるため、30分程度時間をあけてから磨くことが推奨されています。
歯ぎしり・食いしばり
就寝中や日中の無意識な歯ぎしりは、エナメル質を削り、象牙質を露出させます。
歯ぎしりは知覚過敏だけでなく、歯の亀裂や顎関節症のリスクも高めます。
ホワイトニングのやりすぎ
ホワイトニングは一時的に象牙質が刺激を受けやすくなり、知覚過敏を誘発することがあります。歯科医の指導なしに頻繁に行うことは避けるべきです。
NG習慣とその影響を比較

NG習慣 | 歯への影響 | 知覚過敏の悪化リスク |
硬い歯ブラシでの強い磨き | エナメル質の摩耗、歯茎退縮 | 高 |
酸性飲食物の頻繁な摂取 | 酸蝕症、エナメル質の軟化 | 高 |
食後すぐの歯磨き | 軟化したエナメル質の削れ | 中 |
歯ぎしり・食いしばり | エナメル質の亀裂、象牙質露出 | 高 |
ホワイトニングのやりすぎ | 象牙質の刺激、神経の過敏化 | 中 |
冷たい水がしみるときのセルフケア方法

歯磨きの見直し
・やわらかめの歯ブラシを使用
・ペンを持つような力加減でブラッシング
・象牙質保護成分(硝酸カリウム、乳酸アルミニウムなど)配合の知覚過敏用歯磨き粉を使う
食生活の工夫
・酸性の飲食物は摂取回数を減らす
・飲んだ後は水で口をゆすぎ、唾液で中和する時間を作る
・糖質の多い間食を控える
歯ぎしり対策
・寝るときにマウスピース(ナイトガード)を使用
・日中は上下の歯を接触させない意識(TCH対策)
歯科医院でできる治療

知覚過敏が続く場合は、歯科医院での治療が必要です。代表的な方法は以下の通りです。
治療法 | 内容 | 効果持続 |
薬剤塗布(フッ素・樹脂コーティング) | 象牙細管を塞ぎ、刺激を遮断 | 数週間〜数か月 |
詰め物や被せ物での保護 | 削れた部分や露出部をレジンなどでカバー | 長期的 |
噛み合わせ調整 | 歯ぎしりや食いしばりによる負担を減らす | 長期的 |
歯周治療 | 歯茎の炎症や退縮を改善し、露出部を減らす | 中〜長期 |
知覚過敏と虫歯の見分け方

冷たい水でしみるからといって必ず知覚過敏とは限りません。
虫歯との違いを把握しておくことも重要です。
症状比較 | 知覚過敏 | 虫歯 |
痛みの持続時間 | 数秒程度で消える | 長く続くことが多い |
痛みのきっかけ | 冷たい・熱い・甘い刺激 | 食べ物の詰まり、噛んだときなども痛む場合あり |
見た目の変化 | ほとんどなし | 黒や茶色の変色、穴があく |
まとめ|“しみる”を放置しないことが大切

冷たい水で歯がしみるのは、多くの場合知覚過敏ですが、虫歯や歯の亀裂などのサインである可能性もあります。
やってはいけない習慣を避け、正しいケアを行うことで症状は改善できます。
ポイントは
・硬い歯ブラシや強い磨き方をやめる
・酸性飲食物の摂取方法を見直す
・歯ぎしりや食いしばりの対策を行う
・症状が続く場合は歯科医院で診断を受ける
たったひとつの習慣改善が、長く健康な歯を守るカギになります。
「最近しみるな」と感じたら、今日から見直しを始めてみてください。