お子さんの歯を見て「なんだか斜めに生えている…」「歯の列がデコボコしてきた」
そんな不安を感じたことはありませんか?
永久歯が曲がって生えてくるのは珍しいことではありません。
実際、小学生の約4割が一時的に歯の傾きやズレを経験するといわれています。
しかし、成長とともに自然に治るケースもあれば、放置すると歯並びが悪化するケースもあります。
この記事では、永久歯が曲がって生える原因と、放置していい場合・早めに対応すべき場合の見分け方を、わかりやすく解説します。
目次
永久歯が曲がって生えるのはなぜ?

永久歯がまっすぐに生えるには、歯の「生える角度」「スペース」「誘導方向」の3つが重要です。
いずれかがうまくいかないと、歯が傾いたりねじれたりしてしまいます。
主な原因を表にまとめました。
| 原因 | 内容 | 特徴 |
| 顎が小さい | 永久歯が並ぶスペースが不足 | 歯が前後や上下にずれて生える |
| 乳歯が抜けるタイミングのズレ | 早く抜けすぎ・遅すぎ | 永久歯の位置がずれる |
| 永久歯の萌出方向異常 | 永久歯が斜めに発育している | 下の前歯・犬歯に多い |
| 指しゃぶりや舌癖 | 舌や指の力で歯が動く | 開咬や出っ歯の原因に |
| 顎の成長バランス | 上下の顎の成長差 | 前歯が傾いたり重なったり |
| 遺伝的要因 | 親の歯並びを引き継ぐ傾向 | 骨格や歯の大きさに影響 |
特に最近は、食生活の変化(やわらかい食事・咀嚼回数の減少)によって顎の発達が遅れる子どもが増えており、
永久歯が並ぶスペースが足りなくなるケースが多く見られます。
よくある「曲がって生える歯」とその特徴

永久歯は全部で28本(親知らずを含めると32本)ありますが、特に生え方が曲がりやすい歯があります。
| 歯の種類 | 曲がって生えやすい理由 | 対応の目安 |
| 下の前歯(中切歯・側切歯) | 顎が小さく、内側から生えることが多い | 自然に整うこともある |
| 犬歯 | 生えるスペースが狭い | 放置すると八重歯に |
| 上の前歯 | 乳歯が抜ける順番や指しゃぶりの影響 | 早期相談がおすすめ |
| 第一大臼歯(6歳臼歯) | 見えにくく、傾いて生えることがある | 噛み合わせに影響 |
特に「下の前歯が内側から2列に見える」状態は、多くの保護者が驚くポイントです。
これは“二重歯列”と呼ばれ、混合歯列期に一時的に起こることがありますが、多くは自然に整っていきます。
放置していいケースと早めに受診すべきケース

永久歯の生え方には「自然に治るパターン」と「治療が必要なパターン」があります。
見分けるポイントを整理しましょう。
| 状況 | 放置してよいケース | 受診をおすすめするケース |
| 生える位置 | 少し傾いているだけ | 明らかに歯列の外に出ている |
| 歯の揺れ | 乳歯がグラグラしている | 乳歯がしっかり残って動かない |
| 時期 | 生え始めて1〜2か月以内 | 3か月以上たっても改善しない |
| 痛みや腫れ | 特に症状がない | 歯ぐきが赤く腫れている |
| 対称性 | 両側とも同じように生えている | 片側だけ極端にずれている |
特に、「乳歯が抜けないまま永久歯が後ろや横から生えている場合」は、早期に歯科で確認することが重要です。
スペースが確保できないまま成長が進むと、将来的に矯正が必要になる可能性があります。
永久歯が曲がったまま放置するとどうなる?

一見「少し傾いているだけ」でも、放置すると次のようなトラブルが起こることがあります。
| 問題 | 内容 | 影響 |
| 歯並びの乱れ | 隣の歯が押されてずれる | 全体の歯列が歪む |
| 噛み合わせの不良 | 上下の歯が正しく噛み合わない | 顎の成長・発音に影響 |
| 清掃不良 | 歯の重なりに汚れが溜まる | 虫歯・歯肉炎のリスク増 |
| 顎関節への負担 | 左右の噛む力のバランスが崩れる | 顎関節症の原因になることも |
早期に対応することで、矯正治療をせずに自然に整うケースもあります。
逆に、成長が止まってからでは、歯を動かすための治療期間や費用が増えてしまうのです。
歯科で行う主な対応方法

歯医者では、歯の角度や位置をレントゲンで確認したうえで、必要に応じて以下のような処置を行います。
| 方法 | 内容 | 対応時期 |
| 乳歯の抜歯 | 永久歯が正しく生えるスペースを作る | 6〜8歳ごろ |
| 萌出誘導 | ワイヤーや装置で歯の方向を誘導 | 軽度の傾きに有効 |
| 拡大床(かくだいしょう) | 顎を広げてスペースを確保 | 顎の成長期に使用 |
| 早期矯正(Ⅰ期矯正) | 顎の成長を利用して歯列を整える | 6〜10歳が目安 |
特に「萌出誘導装置」や「拡大床」は、永久歯が生えそろう前の時期にしか行えない方法です。
この“成長期のチャンス”を逃すと、後で本格的な矯正が必要になることもあります。
家庭でできる観察と予防ポイント

1.乳歯のグラつきを確認する
歯の生え変わり時期(6〜12歳)は、乳歯の動きが鍵。
動かない場合は歯科で確認を。
2.舌や指の癖を見直す
指しゃぶり・舌で歯を押す癖は、歯を前方に傾ける原因になります。
3.よく噛む食習慣を育てる
顎を発達させるために、繊維質のある食材(野菜・お肉・おにぎりなど)をよく噛むことが大切。
4.口呼吸を改善する
口をポカンと開けていると舌の位置が下がり、前歯が押し出されやすくなります。
永久歯の曲がりは「成長の合図」でもある

永久歯の生え始めは、どの子どもにも個性があります。
一時的に傾いて見えても、顎の成長や舌の動きによって自然に整うケースが多いのです。
ただし、「左右差が大きい」「乳歯が残っている」「3か月以上改善がない」といった場合は、
“自然には治らない”サインです。
早めに小児歯科や矯正歯科に相談することで、将来的な歯列矯正のリスクを減らすことができます。
まとめ:早期発見がきれいな歯並びへの近道

永久歯の曲がりは、成長期にはよくある現象ですが、放置するのは危険です。
- 顎が小さい、乳歯が残る、舌癖があると歯が傾きやすい
- 放置すると歯列不正・噛み合わせ異常につながる
- 6〜10歳の早期対応で自然な位置に戻せることも多い
- 舌や口呼吸など生活習慣の見直しも大切
「少し傾いているだけだから…」と油断せず、
定期検診やレントゲンチェックを通して、成長を見守りましょう。
早期発見と正しい対応が、きれいな笑顔と健康な歯を守る第一歩です。