歯が動く気がする…それ、歯周病の進行サインかも

歯が動く気がする…それ、歯周病の進行サインかも

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「最近、歯がグラグラする気がする」「噛むと違和感がある」
そんな小さな変化を感じていませんか?

実はそれ、歯周病が進行しているサインかもしれません。
歯周病は「静かに進行する病気」と言われ、初期段階では痛みがほとんどありません。
しかし放置すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、最終的には歯が抜け落ちてしまうことも。

今回は、歯が動く原因や歯周病との関係、そして今すぐできる対策について、専門的にわかりやすく解説します。


歯が動くのはなぜ?歯を支える「歯周組織」がポイント

歯は、実は骨に直接くっついているわけではありません。
歯の根の周りには「歯根膜」というクッションのような組織があり、噛むときの衝撃を吸収しています。

しかし、歯周病が進行するとこの歯根膜や歯槽骨が破壊され、歯の支えが弱くなることで「動くように感じる」のです。

歯が動く主な原因を表でまとめてみましょう。

原因内容特徴
歯周病歯を支える骨が溶ける痛みなく進行、出血や口臭を伴う
歯ぎしり・食いしばり歯に過度な力がかかる朝起きたときの顎の疲れ
矯正治療後歯の位置を動かす過程一時的な揺れ、正常な反応
外傷や噛み合わせ不良歯に負担が集中特定の歯だけ違和感
加齢骨吸収による自然な動揺全体的に軽度な動き

歯周病で歯が動くメカニズム

歯周病の本当の怖さは、「自覚症状が出たときにはすでに進行している」という点です。
歯ぐきの炎症(歯肉炎)から始まり、次第に骨まで破壊が及びます。

歯周病の進行段階をわかりやすく整理すると以下の通りです。

段階状態症状歯の動き
歯肉炎歯ぐきの炎症出血・腫れ動かない
軽度歯周炎歯槽骨が一部吸収歯ぐきが下がるわずかに動く
中等度歯周炎骨の半分近くが吸収口臭・膿・しみる動揺を感じる
重度歯周炎骨の大部分が消失歯が長く見える・グラグラ明らかに動く、脱落の危険

歯が「なんとなく動く」と感じた時点で、すでに中等度歯周炎に進行している可能性があります。


歯周病による「歯の動き」を放置するとどうなる?

歯周病を放置すると、次のような悪循環に陥ります。

1.歯垢・歯石が歯ぐきに炎症を起こす

2.骨が溶けて歯が動く

3.動くことでさらに噛み合わせがズレる

4.負担がかかり、炎症と骨吸収が加速

やがて、歯が自然に抜け落ちるケースも少なくありません。
日本人が歯を失う最大の原因が「歯周病」と言われるのは、この進行性の高さにあります。


歯が動く原因が歯周病かどうかを見分けるチェックリスト

以下の項目に2つ以上当てはまる場合は、歯周病の可能性が高いです。

  • 歯ぐきが赤く腫れている

  • 歯磨きのときに血が出る

  • 朝起きると口がネバつく

  • 歯ぐきが下がり、歯が長く見える

  • 口臭が気になる

  • 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい

  • 歯を押すと少し動く気がする

これらのサインがある場合は、早めの歯科受診をおすすめします。


歯が動くときにやってはいけないNG習慣

NG習慣理由
強いブラッシング炎症を悪化させる・歯ぐきを傷つける
硬いものを噛む動揺歯に負担をかける
放置して様子を見る歯槽骨の吸収が進行する
タバコを吸う血流が悪化し治癒力が低下
自分でマッサージ細菌を広げる危険がある

特に「一時的な揺れだから大丈夫」と自己判断するのは危険です。
歯が動いているということは、歯の支えがすでに失われ始めている証拠です。


歯周病による歯の動きを止めるための治療法

歯周病の治療は、進行段階に応じて異なります。
以下の表で主な治療法を比較してみましょう。

病期主な治療法内容効果
軽度スケーリング歯石・プラーク除去炎症を抑える
中等度ルートプレーニング歯根の奥の汚れを除去歯ぐきが引き締まる
重度フラップ手術歯ぐきを開いて徹底清掃骨の再生を促す
骨吸収が大きい場合再生療法(エムドゲインなど)骨や歯周組織を再生動揺の軽減・歯の保存

最近では、MTAやエムドゲインを使った再生療法が進化しており、
「抜かずに歯を残す治療」が可能になってきています。


歯の動きを予防するための生活習慣

正しい歯磨きと定期的なメンテナンス

歯周病は毎日のケアと定期検診でコントロールできます。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスを使うことで歯垢除去率は約1.5倍に向上します。

ケアアイテム特徴使用頻度
歯間ブラシ奥歯の間の汚れを除去1日1回(夜)
デンタルフロス前歯の隙間に最適1日1回
電動歯ブラシ効率的にプラーク除去朝・夜
マウスウォッシュ殺菌・消臭就寝前に使用

食生活の見直し

・ビタミンC(歯ぐきの血流改善)


・カルシウム(骨の維持)


・タンパク質(組織修復)


これらの栄養素を意識的に摂取することで、歯周組織の回復をサポートできます。


最新トピック:歯の「揺れ」をAIで測定する時代に

近年、一部の歯科医院では、AIセンサーを用いた「歯の動揺度測定」が導入されています。
従来の触診よりも精密に、ミクロン単位で歯の動きを測定できる技術です。
これにより、歯周病の進行を数値で管理し、より的確な治療計画を立てることが可能になりました。

歯科医療も「感覚」から「データ分析」へと進化しているのです。


まとめ:歯が動く感覚を放置しないことが歯を守る第一歩

歯が動くのは、単なる気のせいではなく、歯周病の進行サインであることが多いです。
放置すれば歯を失うリスクが高まりますが、早期に対処すれば十分に食い止めることができます。

  • 歯ぐきの出血・腫れを感じたらすぐ歯科へ

  • 毎日のケアでプラークを溜めない

  • 定期的なプロのクリーニングでリセット

歯が「グラッ」とした瞬間は、口があなたに発している“警告”です。
早めの対応で、歯の未来を守りましょう。

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