朝、目覚めた瞬間に自分の口臭が気になる…そんな経験は誰にでもあるでしょう。
実は「朝の口臭」は多くの人が抱える生理的な現象ですが、なかには病気や生活習慣のサインが隠れていることもあります。
この記事では、朝に口臭が強くなる原因と、歯科的・生活的な改善策をわかりやすく解説します。
目次
朝に口臭が強くなるのはなぜ?原因を科学的に解説

朝の口臭の主な原因は「唾液の減少」にあります。
私たちの口の中では、唾液が常に分泌されて細菌の増殖を抑えていますが、睡眠中は唾液の分泌が約90%減少します。
そのため、口の中の細菌が増え、揮発性硫黄化合物(VSC:硫化水素やメチルメルカプタンなど)を発生させ、特有の臭いが生じるのです。
主な原因をまとめると…
| 原因 | 内容 | 対応策 |
| 唾液量の減少 | 口内の自浄作用が低下 | 就寝前の水分補給・鼻呼吸の習慣化 |
| 口呼吸 | 口内が乾燥して細菌繁殖 | 鼻呼吸トレーニング・枕の高さ調整 |
| 歯垢・舌苔 | 細菌の温床となる | 歯磨き・舌ブラシで清掃 |
| 食事やアルコール | 口腔内pHの変化・脱水 | 就寝前のアルコール・喫煙を控える |
| 疾患(歯周病・虫歯など) | 細菌の異常繁殖 | 歯科受診・定期クリーニング |
口臭の「タイプ」を見分けよう

口臭には「一時的なもの」と「病的なもの」があります。
朝の口臭は多くが生理的口臭(一時的)ですが、改善しても続く場合は注意が必要です。
| タイプ | 特徴 | 主な原因 | 改善法 |
| 生理的口臭 | 朝・空腹・緊張時に発生 | 唾液減少 | 水分・口腔清掃で改善 |
| 病的口臭 | 常に強い臭いがする | 歯周病・虫歯・舌苔 | 歯科治療が必要 |
| 内因性口臭 | 内臓疾患が関与 | 胃・肝臓・糖尿病など | 内科的治療 |
| 外因性口臭 | 食べ物や喫煙 | ニンニク・アルコールなど | 食習慣改善 |
もし朝だけでなく日中も臭いが続く場合は、歯科医院で歯周病や舌苔のチェックを受けましょう。
朝の口臭を軽減するための習慣

1. 就寝前の丁寧な歯磨きと舌ケア
夜の口臭対策で最も大切なのは「寝る前の口内環境リセット」です。
歯垢(プラーク)は細菌の塊で、寝ている間に臭い物質を発生させます。
歯ブラシだけでなく、舌の表面にある舌苔(ぜったい)を舌ブラシで優しく除去しましょう。
ポイント:
- 舌を強くこすらず、奥から手前に数回なでる程度
- 舌苔を取りすぎると舌が傷つくため「毎日ではなく2〜3日に1回」でOK
2. 口呼吸を防ぐ「鼻呼吸習慣」
睡眠中の口呼吸は口内の乾燥を招く最大の原因。
口が開いたまま眠ると唾液が蒸発し、細菌が繁殖しやすくなります。
対策としては:
- 鼻詰まりの改善(耳鼻科受診)
- 寝る前に鼻呼吸トレーニング
- 必要に応じて口閉じテープを活用
3. 水分補給と加湿
睡眠中に体はコップ1杯分の水分を失うと言われています。
寝る前と朝起きた直後に常温の水を飲むことで、口腔乾燥を防ぎ細菌の活動を抑えられます。
加湿器の使用も効果的で、特に冬は湿度40〜60%を目安に保つと良いでしょう。
4. マウスウォッシュより「保湿ジェル」が効果的な場合も
一般的に口臭対策といえばマウスウォッシュを思い浮かべますが、
アルコール入り製品は口内を乾燥させ逆効果になることがあります。
最近は、歯科専売の「口腔保湿ジェル」や「唾液分泌促進スプレー」も登場しています。
- 唾液を守る → 保湿ジェル(Biotèneなど)
- 一時的にリフレッシュ → ノンアルコールマウスウォッシュ
- ドライマウス傾向が強い → 歯科医院で相談
歯周病や舌苔が原因の場合の治療法

朝の口臭が強く、さらに「歯茎の腫れ」「出血」「舌の白い汚れ」がある場合は、歯周病や舌苔が主な原因かもしれません。
歯科医院での治療例
- 歯石除去(スケーリング・ルートプレーニング)
- 舌苔クリーニング
- 抗菌洗口剤(クロルヘキシジンなど)の処方
- 歯周病菌のDNA検査で菌種を特定する最新治療も
最近では、口臭の原因菌を測定する「口臭測定器」を導入している歯科も増えています。
科学的に数値化されることで、原因特定と改善経過を明確に追えるのです。
「食べ物・生活習慣」から見直す口臭対策

歯科ケアに加えて、日常のちょっとした習慣改善も効果的です。
- 水分をこまめに摂る(カフェイン飲料より水や麦茶)
- タンパク質・野菜・発酵食品をバランス良く摂取
- 寝酒や喫煙を控える
- ストレスをためない(自律神経の乱れが唾液量を減らす)
特に「唾液を出すための咀嚼」は重要。
ガムを噛む、梅干しやレモンを口にするなど、刺激を与えるのも有効です。
まとめ:朝の口臭は「予防とケア」で必ず改善できる

朝の口臭は誰にでも起こる自然現象ですが、日常的に続く・強い臭いがする場合は要注意です。
多くの場合、正しいケアで改善できます。
- 就寝前の丁寧な歯磨きと舌ケア
- 鼻呼吸・水分補給・加湿
- ノンアルコールタイプのマウスウォッシュ
- 定期的な歯科クリーニング
「朝起きたときの口臭=体からのサイン」です。
今日からの小さな習慣で、朝の息をすっきり清潔に保ちましょう。