「歯に良い食べ物」「虫歯になりやすい食べ物」と聞くと、甘いお菓子やジュースを思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし実際には、歯や歯茎の健康に大きな影響を与える食品は非常に多く、日々の食事選びが将来の口腔環境を左右するといっても過言ではありません。
この記事では、歯に良い食べ物・悪い食べ物を科学的根拠に基づいて整理し、具体的な食生活の工夫を紹介します。食事で口の健康を守りたい方に役立つ実践的な情報をお届けします。
食べ物が歯に与える影響の基本

私たちが口にする食べ物は、直接歯に触れるため、体の他の部位以上に大きな影響を与えます。
大きく分けると次の二つの作用があります。
- 虫歯リスクを高める作用(酸性度・糖分・粘着性など)
- 歯や歯茎を強くする作用(ミネラル補給・唾液分泌促進など)
つまり「何を食べるか」だけでなく「どのように食べるか」も重要なのです。
歯に良い食べ物

カルシウムを含む食品
カルシウムは歯や骨の主成分であり、不足すると歯がもろくなります。
- 牛乳、ヨーグルト、チーズ
- 小魚、ししゃも、ちりめんじゃこ
- 小松菜、ブロッコリー
特にチーズは唾液分泌を促進し、酸を中和する作用もあるため「歯に優しい食品」として知られています。
ビタミンDを含む食品
カルシウムの吸収を助けるビタミンDも重要です。
- 鮭、サンマ、イワシなどの魚
- 卵黄
- きのこ類
日光を浴びることで体内でも合成されます。
ビタミンCを含む食品
歯茎のコラーゲン生成に欠かせない栄養素です。
- ピーマン、ブロッコリー、柑橘類
- いちご、キウイ
不足すると歯茎が弱くなり、歯周病リスクが高まります。
食物繊維を含む食品
よく噛むことで唾液が分泌され、歯の自浄作用を高めます。
- 根菜類(ごぼう、にんじん)
- 果物(りんご、梨)
- 豆類
歯に悪い食べ物

糖分を多く含む食品
砂糖は虫歯菌が酸を作り出すエネルギー源です。特に粘着性が高い食品はリスクが大きくなります。
- キャラメル、チョコレート、グミ
- 甘いジュースや炭酸飲料
酸性の強い食品や飲料
酸は直接歯のエナメル質を溶かし、酸蝕症を引き起こします。
- 炭酸飲料、スポーツドリンク
- 柑橘系ジュース、酢を使った飲み物
間食として食べやすいスナック菓子
ポテトチップスやクラッカーなど、でんぷんを多く含む食品も注意が必要です。口の中で糖に分解され、虫歯の原因となります。
食べ方による違い
同じ食品でも「食べ方」によって歯への影響は変わります。
食べ方 | 歯への影響 |
だらだら食べ | 酸性状態が続き、虫歯リスク大 |
一度に食べる | 酸性時間が短くリスク低い |
食後に水やお茶でうがい | 酸や糖を洗い流しリスク低下 |
間食が多い | 虫歯菌にエネルギーを与え続ける |
最新研究からわかる食事と口の健康

近年の研究では「口腔内マイクロバイオーム(細菌叢)」が注目されています。食生活が腸内環境だけでなく、口の中の菌バランスにも影響することが明らかになってきました。
例えば、発酵食品や乳酸菌を含む食品は「善玉菌」を増やし、虫歯菌や歯周病菌の働きを抑制する効果があると報告されています。ヨーグルトや納豆、キムチなどの摂取は、口腔内の健康にも役立つ可能性があります。
歯に良い食べ物と悪い食べ物の比較表
カテゴリー | 良い食べ物 | 悪い食べ物 |
ミネラル補給 | 牛乳、チーズ、小魚 | 加工食品でカルシウム不足 |
酸性度 | 野菜、海藻 | 炭酸飲料、柑橘ジュース |
唾液分泌 | 根菜、リンゴ | キャラメル、グミ |
菌バランス | ヨーグルト、納豆 | 高糖分スナック |
実践できる食生活の工夫

- 間食はなるべく控え、決まった時間に食べる
- 甘い飲み物を避け、水やお茶を選ぶ
- 食後は水でうがいをする
- 発酵食品を積極的に取り入れる
- 食事の最後にチーズやナッツを摂ると中和効果が期待できる
まとめ

歯の健康は毎日の食事から大きな影響を受けます。
カルシウムやビタミンを多く含む食品を意識的に取り入れる一方で、糖分や酸の多い食品は控える、あるいは食べ方を工夫することが重要です。
「何を食べるか」だけでなく「どう食べるか」が虫歯や歯周病のリスクを左右します。今日から食生活を見直し、歯科医院での定期検診と組み合わせて、口の健康を守っていきましょう。