「歯は一生もの」という言葉を聞いたことはありませんか? けれども、虫歯や歯周病、加齢による歯のトラブルなど、何かしらの理由で歯の健康を損なってしまう人は少なくありません。厚生労働省によると、成人の約8割が歯周病の兆候を持っているとされており、虫歯の経験率も高いことが分かっています。
とはいえ、「大人になってから新しいケアを始めるのは面倒」「歯医者に行くきっかけがない」と感じる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、歯科医師がおすすめする歯を守るために大切な5つの習慣を紹介します。これを読んだ今日から、少しずつ日常に取り入れてみましょう。きっと将来の自分が感謝してくれるはずです。
1.定期的に歯科検診を受ける
なぜ定期検診が大切?
虫歯や歯周病は、初期段階ではほとんど痛みがないのが特徴です。痛みや違和感を覚えた頃には、すでに症状が進行しているケースも少なくありません。痛くなってから歯科医院を受診する人が約6割にのぼるという調査結果があります。しかし、早期に発見すれば簡単な治療や予防処置で食い止められることが多いのです。
検診はどのくらいの頻度?
- 3〜6か月に1回のペースが一般的。
- 虫歯や歯周病が進行しやすい人は、歯科医師に相談しながらペースを調整しましょう。
チェック項目やメリット
チェック項目 | 得られるメリット |
---|---|
虫歯の有無 | 進行具合を把握し、早期治療ができる |
歯周ポケットの深さや歯肉の状態 | 歯周病のリスクを見極め、悪化を防止 |
歯石・プラークの付着状況 | プロによるクリーニングで落としきれない汚れを除去 |
噛み合わせ・詰め物などの点検 | 適切な調整や補修でトラブルを未然に防げる |
2.正しいブラッシングを身につける

歯ブラシの選び方
歯磨きは毎日していても、「磨き方」に気を使わないと十分な効果を得られません。まずは歯ブラシ選びが肝心です。
- ヘッドの大きさ:コンパクトタイプを選ぶと、奥歯や細かい部分まで届きやすい
- 毛の硬さ:歯茎を傷つけにくいやわらかめ〜ふつうが基本
- 毛先の形状:山切りカットや先細タイプは歯間の汚れにアプローチしやすい
磨き方のポイント
- ペングリップで軽く握る
グーで握ると力が入りすぎてしまうため、ペンを持つように歯ブラシを持ち、コントロールしやすい力加減に。 - 歯と歯茎の境目(歯頸部)を意識
45度の角度でブラシを当て、小刻みに動かしてプラークをかき出します。 - 1本1本丁寧に
ざっと磨くだけだと、奥歯や歯間などの汚れが残りがち。数十秒ずつエリアを分けて磨くのが理想的です。
3.フロスや歯間ブラシでプラスケア
なぜ歯間ケアが必要?
歯ブラシだけでは約4割の歯間の汚れが落としきれないとも言われています(アメリカ歯科医師会の報告より)。そのまま放置すると、歯と歯の間から虫歯や歯周病が進行してしまうことも。デンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯ブラシの届かない隙間をケアするのが大切です。
フロスと歯間ブラシの比較
項目 | フロス | 歯間ブラシ |
---|---|---|
形状 | 糸状(糸巻き・ホルダータイプ) | ミニブラシ(ワイヤー+ブラシ部分) |
適した歯間の幅 | 狭い歯間に有効 | 広い歯間やブリッジ、矯正装置まわりに有効 |
メリット | 細い隙間にもしっかり入る | ブラシが汚れを絡め取りやすい |
使いやすさ | 慣れが必要だがコンパクト | サイズ選びが肝心(歯茎を傷める恐れ) |
自分の歯並びや歯間の広さに合わせて、フロスや歯間ブラシを使い分けると効果的です。
4.食習慣と生活習慣を見直す

砂糖の摂りすぎに要注意
虫歯菌は糖分をエサに酸を作り、歯を溶かしてしまいます。「1日に摂取する糖分は総カロリーの10%未満が望ましい」と言われており、砂糖が多く含まれるお菓子や清涼飲料水を摂る頻度が高いと虫歯リスクが上がるので、以下の点に気をつけましょう。
- おやつの時間を決める:ダラダラ食べを避け、食べ終わったら歯磨き or うがい
- 飲み物を見直す:コーヒー・紅茶も無糖タイプ、ジュースは控えめに
- キシリトールガムの活用:唾液分泌を促し、虫歯予防にも役立つ
ストレスと睡眠
ストレスが溜まると唾液の分泌量が減少し、口内環境が悪化することがあります。また、睡眠不足は免疫力の低下につながり、歯周病などの進行リスクを高める要因になりかねません。
適度な運動や趣味の時間を取り入れ、良質な睡眠を確保することも、歯の健康を守る重要な習慣です。
5.歯科医師とのコミュニケーションを大切にする

治療計画を理解しよう
歯科治療は「やってもらうだけ」で終わるものではありません。虫歯や歯周病の状態、治療方針、費用、期間などを歯科医師と相談しながら納得して進めることで、モチベーションを維持しやすくなります。分からないことがあれば、遠慮なく質問しましょう。
ケアの方法を定期的にブラッシュアップ
同じように歯磨きしているつもりでも、加齢や歯並びの変化によって磨き残しの場所が変わることもあります。定期検診の際にブラッシング指導を受けると、自分に合ったケアのポイントを教えてもらえます。
歯間ケアのやり方や、歯ブラシ・歯磨き粉の選び方など、日々のセルフケアをアップデートし続けることが、歯の寿命を延ばす秘訣です。
まとめ:一生使う大切な歯を守るために、今から始めよう

ここまで紹介した5つの習慣を総合的に実行することで、虫歯や歯周病のリスクがぐっと下がり、将来にわたって自分の歯で美味しく食事を楽しむことができます。おさらいすると、
- 定期的に歯科検診を受ける
- 正しいブラッシングを身につける
- フロスや歯間ブラシでプラスケア
- 食習慣と生活習慣を見直す
- 歯科医師とのコミュニケーションを大切にする
歯の健康は、見た目の若々しさだけでなく、栄養摂取や全身の健康、さらには生活の質(QOL)にも大きく関わってきます。厚生労働省の報告でも、歯を多く残している人ほど平均寿命や健康寿命が長い傾向にあるとされています。
「面倒だな」と感じる方もいるかもしれませんが、やりはじめれば習慣となり、その効果を実感できるようになるでしょう。ぜひこの記事をきっかけに、今日からあなたの歯を守る5つの習慣を取り入れてみてください。将来、あなた自身が「やっておいて良かった!」と心から思えるはずです。