歯の健康と睡眠の質!“噛みしめ”が眠りを妨げている?

歯の健康と睡眠の質!“噛みしめ”が眠りを妨げている?

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朝起きたときに「顎が疲れている」「歯が痛い」と感じたことはありませんか?
その原因の一つが、無意識に行っている“噛みしめ”です。

日本歯科医師会によると、就寝中に歯を強く噛みしめる「睡眠時ブラキシズム」は成人の約8〜15%にみられるとされ、実際には「気づいていない人」も含めるとさらに多いと考えられています。
噛みしめは歯の健康だけでなく、睡眠の質や全身のコンディションに大きな影響を及ぼすのです。

今回は、歯と睡眠の密接な関係をわかりやすく解説し、改善のための具体的な方法をご紹介します。


噛みしめとは?

噛みしめは「上下の歯を強くかみ合わせる癖」のことです。
日中にも見られますが、特に問題になるのは睡眠中。無意識に強大な力をかけ続けるため、歯や顎関節に負担がかかります。

噛む力は通常の食事時で約30〜40kg程度といわれますが、睡眠中の噛みしめや歯ぎしりではその2〜3倍(100kg近い力)がかかる場合もあると報告されています。


噛みしめが歯に与える影響

歯の摩耗やひび割れ

強い力でこすり合わせることでエナメル質が削れ、知覚過敏や虫歯リスクが増加します。ひどい場合には歯が欠けることも。

顎関節症

顎の筋肉や関節に負担がかかり、口が開けにくい、カクカク音がする、頭痛や肩こりが起こることもあります。

歯周病の悪化

歯茎や歯を支える骨に過度の力が加わり、歯周病の進行を早める原因になります。


噛みしめが睡眠に与える影響

浅い眠りになる

睡眠中の噛みしめは、脳が「緊張状態」になっているサイン。ノンレム睡眠が妨げられ、深い眠りに入りにくくなります。

睡眠時無呼吸との関連

海外の研究では、睡眠時ブラキシズムと睡眠時無呼吸症候群には一定の関連があると報告されています。無呼吸のストレスで噛みしめが誘発されるケースも。

日中の疲労感

十分な時間眠っても「疲れが取れない」と感じるのは、噛みしめによる睡眠の質低下が原因の一つです。


噛みしめと他の睡眠トラブルの比較

睡眠トラブル主な症状歯や体への影響
噛みしめ・歯ぎしり顎の疲れ、歯の痛み、頭痛、歯の摩耗歯の破折、知覚過敏、歯周病悪化
睡眠時無呼吸症候群大きないびき、呼吸停止、日中の強い眠気心疾患リスク上昇、酸素不足による全身負担
不眠症入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒慢性疲労、集中力低下、メンタル不調

このように噛みしめは単なる「歯の問題」にとどまらず、睡眠や全身の健康に波及する点が特徴です。


噛みしめの原因は?

  • ストレス:精神的ストレスは最大の要因。仕事や人間関係の緊張が睡眠中に噛みしめとして現れます。

  • 噛み合わせの問題:歯列不正や補綴物の不適合も原因に。

  • 生活習慣:カフェイン・アルコールの過剰摂取、就寝直前のスマホ使用などは睡眠の質を下げ、噛みしめを誘発します。

  • 呼吸の癖:口呼吸や鼻づまりがある人は噛みしめが増える傾向があります。

改善方法と予防策

ナイトガード(マウスピース)

歯科医院で作るナイトガードは歯を直接守り、力を分散させます。特に歯の摩耗や破折が心配な人には有効です。

ストレスケア

ヨガやストレッチ、日記をつけるなどリラックスできる習慣を持つことが効果的。
睡眠中の噛みしめは「日中のストレスのバロメーター」ともいわれます。

睡眠環境の改善

・寝室は暗く静かに
・就寝前のスマホやカフェインを控える
・規則正しい睡眠リズムを保つ

歯科・医科の連携治療

噛みしめが強く、顎関節症や睡眠時無呼吸を伴う場合は、歯科と睡眠医療科の連携で治療が必要です。


噛みしめをセルフチェックする方法

  • 朝起きて顎やこめかみがだるい
  • 歯がしみる・欠ける
  • 家族に歯ぎしりを指摘された
  • 頭痛や肩こりがある
  • 鏡を見ると歯がすり減っている

これらが複数当てはまる場合、噛みしめの可能性があります。


最新情報:アプリやセンサーでのモニタリング

近年では、睡眠中の噛みしめや歯ぎしりをモニターできるデバイスやアプリも登場しています。
歯科医院によってはセンサー付きマウスピースを用いて「噛む力の時間帯や強さ」を記録し、治療に活かすケースもあります。
こうした最新技術を活用することで、客観的に自分の癖を把握できるようになっています。


まとめ

  • 噛みしめは成人の約8〜15%に見られ、歯や顎だけでなく睡眠の質も低下させる
  • 歯の摩耗・知覚過敏・歯周病悪化に加え、浅い眠りや日中の疲労感を招く
  • 原因はストレス、噛み合わせ、生活習慣など多岐にわたる
  • 改善にはナイトガード、ストレスケア、睡眠環境改善、歯科と医科の連携が有効
  • セルフチェックや最新モニタリング技術で早期発見・早期対策が可能

眠りの質を高めることは、歯と体の健康を守ることにもつながります。
もし朝の顎の疲れや歯の痛みが気になるなら、歯科での相談をきっかけに“眠れる歯”を取り戻しましょう。

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