近年、“食事の軟食化”や“ながら食べ”などが進む中で、意識せずに「噛む回数」が減っている人が増えていると言われています。実は、噛む力(咀嚼力)が衰えてしまうと、口腔内のトラブルだけでなく全身の健康や若々しさにまで影響を及ぼす可能性があるのをご存じでしょうか。今回の記事では、「噛み不足」がもたらす怖いリスクと、その対処法についてわかりやすく解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
なぜ“噛む力”が大切なの?

全身の健康と深く関わる「咀嚼(そしゃく)」
食事をするときに食べ物を細かく砕き、飲み込みやすい状態にするのが「咀嚼」です。厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」の結果によると、日本人の咀嚼回数は昭和30~40年代と比べて大幅に減少していると報告されました。これは、加工食品や柔らかい食材が増えたこと、早食い・ながら食べが習慣化していることなどが要因とされています。
しかし、しっかり噛むことは栄養面だけでなく、口腔内の健康、脳の活性化、さらには見た目の若々しさにも深く関わっているのです。
噛む力がもたらす主なメリット
- 唾液分泌の促進
よく噛むことで唾液の分泌が増え、口内を清潔に保ち、虫歯や歯周病などのリスクが下がります。また、唾液に含まれる消化酵素によって消化をサポートするほか、口臭予防にもつながります。 - 満腹中枢への刺激
噛む回数が増えると脳の満腹中枢が刺激され、食べすぎを防いで肥満リスクを減らすというデータがあります。さらに、しっかり咀嚼すると栄養の吸収効率が上がるという報告も。 - 脳への好影響
噛む動作は脳の血流を増やし、認知機能を向上させる可能性があると言われています。高齢者の方は噛む力の低下が認知症リスクを高める一因になるという研究結果も注目されています。 - フェイスラインの維持
咀嚼筋(咬筋や側頭筋など)がしっかり使われることで、顔まわりの筋肉が刺激され、たるみ防止やシャープなフェイスラインを保つ手助けになります。
噛み不足のリスクはこんなにある!

- 口腔トラブルが増える
噛む回数が減ると唾液の分泌量が低下しやすくなります。唾液が少なくなると、口内細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病、口臭などのリスクが高まります。特に高齢者の場合、噛む力と歯の本数は深く関係しており、歯を多く残している方ほど健康で長生きする傾向があると厚生労働省の調査でも示唆されています。 - 肥満や生活習慣病のリスク増
噛み不足であっという間に食べ終えてしまうと、満腹感を得にくいため過食になりがち。さらに、血糖値が急激に上がりやすく、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まることも考えられます。適切な咀嚼は、食べ過ぎを防いで体重コントロールをサポートしてくれる重要な要素なのです。 - 脳機能の低下
しっかり噛むことは脳への血流を増やし、記憶や認知機能にプラスに働くとされています。逆に噛む力が弱くなると、脳への刺激が減り、認知機能の低下や集中力の欠如につながる可能性があります。特に高齢者の方の場合、嚥下機能が低下することで誤嚥性肺炎のリスクも高まるため注意が必要です。 - 見た目の老化が加速
噛む回数が減ると、顔の筋肉(特に下顎周辺)が使われにくくなり、フェイスラインのたるみや頬のハリの低下を招きやすいです。さらに、歯が抜けたり、噛み合わせが悪化すると、顎の骨や筋肉のバランスが崩れ、老けた印象に繋がる可能性が高まります。
噛む回数が激減!?昔と今の食生活比較
噛む力の低下は、日本の食生活の変化も大きく関係しています。以下に示す表は、昔と今で食事の硬さや噛む回数にどのような違いがあるのかをイメージしやすくするための例です。
時代/食生活 | 主な食材・食べ物 | 1食あたりの平均咀嚼回数(目安) |
---|---|---|
昔の和食中心の時代 | 根菜類(ゴボウ、レンコンなど) 雑穀米、干物、漬物など | 約1400〜1500回 |
現代の軟食化の食事 | パンや麺類、ハンバーグ、揚げ物 柔らかいスイーツ・加工食品など | 約600〜800回 |
かつての日本は、根菜類や雑穀米などの噛み応えのある食材が多かったため、自然と咀嚼回数が増えました。一方、現代は柔らかいパンや麺類、加工食品が増え、噛む回数が大きく減少していると考えられています。このような食生活の変化が「噛み不足」の大きな要因の一つとなっています。
“噛み不足”を解消する対処法

- 噛み応えのある食材を積極的に取り入れる
日頃から柔らかい食事ばかりを選んでいる場合は、歯ごたえのある食材を意識して摂ることがおすすめです。以下のような食材は噛む力を鍛えるのにぴったり。
・根菜類:ゴボウ、レンコン、ニンジンなど
・ナッツ類:アーモンド、くるみ(食べ過ぎに注意)
・生野菜:キャベツ、キュウリ、セロリなど
・ フルーツ:リンゴ、梨、柿などの固めのフルーツ
調理の際にあえて大きめに切る、少し歯ごたえを残す程度に火を通すなど、少しの工夫で噛み応えをアップさせることができます。 - 一口30回を目安に噛む習慣づくり
いきなり「1500回噛もう!」というのは難しいですが、「1口につき30回」を目安に噛むことから始めてみましょう。慣れてくると自然と咀嚼数が増え、満腹感を得やすくなります。食事中、意識して噛む回数を数えてみるだけでも食べ方のスピードが変わるはずです。 - ガムを活用する
食後や間食として「シュガーレスガム」を噛むのも、手軽に噛む回数を増やす対策として有効です。ガムを噛むことで唾液が増え、口腔内が洗浄され、虫歯予防や口臭対策にもなります。ただし、長時間同じ部分だけで噛むと顎に負担がかかることがあるため、左右バランスよく噛むように意識しましょう。 - 正しい咬合(かみ合わせ)を保つ
歯並びやかみ合わせが悪いと、特定の歯や顎に負担がかかり、噛む力そのものが低下することがあります。インビザラインなどの歯列矯正や、歯科医院でのかみ合わせ調整を行うことで、適切な咀嚼バランスを取り戻せるケースもあります。定期的に歯科検診を受けて、自分のかみ合わせ状態を把握しておくと良いでしょう。 - 入れ歯・インプラントを適切に
歯が抜けたままの状態が続くと、噛む力が格段に落ちてしまいます。入れ歯を合わずに放置したり、インプラント治療を先延ばしにしたりするのは避けたいところ。失った歯を適切に補い、しっかり噛める状態を取り戻すことが、全身の健康や若々しさに直結すると覚えておきましょう。
まとめ:噛む力があなたの健康と若さを守る!

「噛む力が若さを保つ」と聞くと、大げさに思われるかもしれませんが、実際には噛み不足が引き起こすリスクは多岐にわたります。
- 口腔トラブル:虫歯・歯周病・口臭などのリスク増
- 肥満や生活習慣病:過食や血糖値の急上昇
- 脳機能低下:認知機能への影響、集中力の低下
- 見た目の老化:顔のたるみ、歯の欠損による印象ダウン
一方で、噛む回数を増やす工夫をするだけで唾液の分泌が促進され、脳やフェイスラインにも良い刺激を与えることができます。噛み応えのある食材を取り入れたり、ガムを噛んだりするだけでなく、かみ合わせのチェックや歯のメンテナンスも大切です。
食事は毎日のことだからこそ、小さな意識改革が大きな健康効果につながります。ぜひ今日から「一口30回」を目安に噛む習慣を意識してみてください。噛む力を取り戻すことで、心身の健康と若々しさを長く保ち、“笑顔あふれる”日常を手に入れましょう!