「歯磨きは毎食後にきちんとしているから大丈夫!」と思っていませんか?じつは、口のニオイや健康状態に深く関わっているのが“舌”だということをご存じでしょうか。舌の表面には、歯磨きでは落としきれない汚れが付着しやすく、そのまま放置してしまうと口臭をはじめとするさまざまなトラブルを引き起こす原因になることも。
最近は、舌磨き専用のブラシやヘラが登場するなど、“舌をケアする”という考え方が広がりつつあります。今回は、舌磨きの重要性や正しい方法、そして知っておきたい最新のセルフケア事情を分かりやすく解説します。思わず人に話したくなる情報もたっぷり盛り込んでいますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
舌磨きが注目される理由とは?
口臭の原因の約6割は舌苔(ぜったい)によるもの
口臭の原因のうち約60~70%が口腔内、特に“舌苔”と呼ばれる舌の汚れに起因すると言われています。舌苔とは、舌の表面に付着する白っぽい苔のようなもので、食べカスや細菌、剥がれ落ちた粘膜などが混ざり合って形成されます。
この舌苔が増えると、嫌なニオイを放つ揮発性硫黄化合物(VSC)が発生しやすくなり、結果的に口臭を引き起こす原因となるのです。歯はしっかり磨いているのに口臭が気になる、という方は、まず舌磨きを試してみる価値があります。
舌の健康は全身の健康にも影響
舌の汚れが溜まりすぎると、細菌が増殖しやすくなります。これが唾液の働きを弱めたり、歯周病や虫歯のリスクを高めたりする可能性も指摘されています。さらに、高齢者などは嚥下機能が低下している場合もあり、舌が汚れていると誤嚥性肺炎などを起こしやすくなることもあるのです。
つまり、舌を清潔に保つことは口臭の対策だけでなく、全身の健康維持にもつながるといえます。
舌苔って何?増える原因とリスク
舌苔が増える主な原因
- 唾液の分泌不足
ストレスや水分摂取量の不足、口呼吸などにより唾液の分泌量が下がると、舌のセルフクリーニング作用が低下し、舌苔がたまりやすくなります。 - 口腔内細菌の繁殖
虫歯や歯周病がある状態だと細菌が多く、舌表面でも繁殖しやすくなります。 - 不十分な舌ケア
歯は磨いても舌はほとんどケアしない、という方は要注意。舌苔は時間とともに厚みを増す傾向があります。 - 喫煙や飲食習慣
タバコのヤニやアルコール、糖分・脂質の多い食事なども舌の汚れを増加させる一因となることがあります。
舌苔が増えると起こりうるリスク

- 口臭の悪化
先述のとおり、舌苔は口臭の大きな原因となります。本人は気付きにくいため、人間関係にも影響を与えかねません。 - 味覚障害のリスク
舌苔が厚くなると、舌の味蕾(みらい)に汚れが蓋をする形になるため、味覚が鈍くなることがあります。 - 口腔トラブルの増加
歯周病や虫歯が悪化しやすくなるほか、歯茎や舌粘膜に炎症を起こすケースも。
舌磨きの正しい方法と注意点

用意するもの
- 舌専用ブラシまたはヘラ
近年、薬局やドラッグストアで“舌ブラシ”や“舌クリーナー”として販売される専用グッズが増えています。毛足が短くやわらかいブラシや、ヘラ状の先端を持つタイプなど、形状はさまざま。いずれも舌に優しくフィットして汚れを絡め取る工夫がされています。 - 柔らかめの歯ブラシ(代用の場合)
専用ブラシがない場合は、歯ブラシの毛先が柔らかいものを軽く使う方法もあります。ただし、舌を傷つけるリスクもあるため力加減に注意。
舌磨きの手順
- 時間帯は朝がベスト
寝ている間は唾液の分泌量が減り、舌表面に汚れが溜まりやすい状態です。起床後、朝の歯磨きと合わせて舌磨きを行うと効果的。 - 力を入れすぎない
舌の表面はデリケートなので、強くこすりすぎると傷つけてしまいます。歯磨きよりもソフトな力加減を心がけましょう。 - 奥から手前へ動かす
舌の奥から手前に向かって、ブラシやヘラを軽く引くようにして汚れを取ります。左右にゴシゴシこするのではなく、一方向で何度か繰り返すのがポイント。 - 舌ブラシを水洗いしながら進める
一度ブラシについた汚れをそのままにしておくと、再度舌に汚れが付着する恐れがあります。数回引いたらブラシを流水で洗い、きれいな状態でケアを継続しましょう。
過剰に磨きすぎない
舌磨きは大切なセルフケアですが、やりすぎはNG。舌の粘膜を傷つけて味覚障害の原因になったり、逆に細菌繁殖を招く場合もあります。1日1回、朝のタイミングに軽く磨く程度で十分。汚れがひどいと感じるときでも、力を入れずに優しく行うことが肝心です。
よくある質問Q&A
Q1. 毎食後に舌磨きをしたほうがいい?
A: 基本的には1日1回でOKです。頻度が高すぎると舌を痛めるリスクがあるため、起床後など定期的なタイミングで優しくケアするのがおすすめ。
Q2. 歯磨き粉は使うべき?
A: 舌磨き専用のジェルや洗口液は存在しますが、一般的な歯磨き粉は発泡剤が含まれている場合も多く、刺激が強いことがあります。まずは何もつけずに行い、それでも気になるときは刺激の少ないジェルタイプを検討してください。
Q3. 舌の奥を磨くとオエッとなりがち…
A: 舌の奥は嘔吐反射が起こりやすい場所。口を開けすぎず下を少し突き出すようにして、ゆっくり深呼吸をしながら磨くと軽減されることがあります。また、奥まで無理をせず、自分が磨きやすい範囲を優先してケアしましょう。
Q4. むしろ舌苔が全くないときは磨かないほうがいい?
A: 舌苔がほとんど付着していない方は、無理に磨く必要はありません。舌ブラシで軽く確認する程度で十分。大切なのは“自分に必要なケアを無理なく行う”ことです。
舌磨き以外にもできる!口内清潔を保つコツ

唾液の量を増やす生活習慣
唾液には口内を洗浄し、細菌の繁殖を抑える機能があります。舌磨きと併せて唾液分泌を促す習慣を取り入れると、より効果的です。
- 水分をこまめに摂る
1日1.5~2リットルを目安に、水やお茶などのノンシュガー飲料でしっかり水分補給。 - しっかり噛んで食べる
食事の際によく噛むことで唾液が出やすくなります。ガムを噛むのも有効。 - 舌・頬のマッサージ
口を大きく開けたり、舌を動かす体操をすると、口周りの筋肉が刺激されて唾液の分泌がアップすると言われています。
歯磨き+デンタルフロスや歯間ブラシ
もちろん、歯と歯の間のケアもお忘れなく。歯間ケアを行う人は、歯周病や虫歯のリスクが下がるというデータもあり、口臭対策にもプラスです。舌磨きと同じく、初めての方は優しくゆっくり慣れていくのがコツ。
定期的な歯科検診とクリーニング
舌磨きや歯磨き、フロスなどの日々のセルフケアだけでは落としきれない汚れや歯石が存在することもあります。厚生労働省の「歯科疾患実態調査」でも、定期的な歯科検診を受ける人ほど歯を多く残す傾向があると報告されており、口腔環境を良好に保つためにも年2回程度のプロフェッショナルケアをおすすめします。
まとめ:舌磨きで“口内美人”を目指そう

ここまで、舌磨きの必要性や正しい方法、さらには口内を清潔に保つためのポイントをたっぷりお伝えしました。「歯磨きさえしっかりやっていれば大丈夫」と思いがちですが、舌の表面に潜む汚れは口臭や口腔トラブルの大きな原因になる可能性があります。日々のケアに舌磨きを取り入れることで、より健康でキレイな口元を手に入れられるはずです。
- 舌磨きは口臭対策の要! 舌苔が溜まるとイヤなニオイの発生源に。
- やりすぎ注意のソフトケア 強い力でゴシゴシやるのはNG。1日1回、朝を目安に優しく行いましょう。
- 唾液分泌を意識しよう 水分補給やよく噛む食習慣で、口内を自然にクリーンに保つ働きがアップ。
- 歯間ケアや定期検診も忘れずに 舌だけでなく歯と歯の間も見逃せないスポット。プロのチェックで早期発見・早期治療を!
舌磨きは、日本ではまだまだ習慣にしている人が少ないケア方法ですが、海外では「日常的なオーラルケアの一部」として定着しています。ぜひこの機会に舌磨きを始めてみて、口内環境の変化を実感してみてくださいね。自信をもって人と話せる、笑顔あふれる毎日を目指しましょう!