「根管治療」と聞くと、「痛そう」「怖い」「何回も通うことになる」といった不安なイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。しかし、実際には現代の歯科治療は日々進化しており、適切な処置を受ければ痛みは最小限に抑えることができます。
この記事では、そもそも根管治療とは何か、なぜ必要なのか、どのような手順で行われるのか、そして「本当に痛いのか?」という疑問について、専門的かつわかりやすく解説します。
目次
根管治療とは?

根管治療とは、虫歯や外傷によって歯の中の神経(歯髄)が炎症を起こしたり、壊死したりしたときに行う治療です。歯の根の中にある「根管」という細い管を掃除して、細菌を除去し、無菌化することで、歯を抜かずに残すための処置です。
根管治療が必要なケース
- 虫歯が深く進行し、神経まで到達した
- 歯に強い痛みやズキズキする症状がある
- 歯をぶつけて神経が死んでしまった
- 被せ物の下で再感染している
治療の流れと所要回数

根管治療は1回で終わる場合もありますが、通常は2〜3回の通院が必要になります。症状が重い場合はさらに多くなることも。
一般的な流れ
- 診断と麻酔:レントゲンや触診で診断し、治療部位に局所麻酔を行います。
- 神経の除去(抜髄):歯を削って神経を取り除きます。
- 根管の洗浄と消毒:細菌や汚染物質を除去するために、根管内を洗浄します。
- 薬剤の充填:無菌状態になったら、根管に薬剤を詰めて密封します。
- 土台と被せ物の作成:歯の強度を補うために支台を入れ、被せ物を装着して完了。
「痛い」は本当?麻酔と術後の痛みについて

治療中の痛み
根管治療では、必ず局所麻酔を使用します。そのため、神経が生きている場合でもほとんど痛みを感じることはありません。痛みを感じやすい人には追加で麻酔を施すため、安心して治療が受けられます。
治療後の痛み
一時的に「ズーンとした痛み」「咬んだときの違和感」が残ることがありますが、これは治療によって炎症が落ち着く過程で起きるもので、多くは数日で改善します。市販の鎮痛薬で対応できる程度がほとんどです。
根管治療を放置するとどうなる?

神経の問題を放置してしまうと、以下のような深刻な症状につながることがあります。
放置した場合の影響 | 結果 |
細菌感染の拡大 | 顎の骨まで感染が広がることもある |
歯の破折 | 神経が死んだ歯は脆くなり、割れやすくなる |
慢性的な痛みや膿 | フィステル(膿の袋)形成や発熱も |
全身への影響 | 感染が血流に乗り、他臓器へ波及する危険性 |
根管治療の成功率を高めるために大切なこと

根管治療の成功率は、患者側と歯科医側の双方の意識と取り組みによって左右されます。以下のようなポイントを意識することで、再発リスクを下げ、治療の精度を高めることができます。
患者側でできること
- 初期症状を見逃さない:違和感や痛みがあれば早めに受診することで治療もシンプルに済む可能性が高くなります。
- 途中で治療を中断しない:根管治療は通院回数が多くなりがちですが、完了前に中断すると再感染の原因になります。
- 歯の清掃を怠らない:治療中・治療後もプラークコントロールを徹底することで予後が良好になります。
歯科医院選びのポイント
- 丁寧な説明をしてくれるか:治療内容や回数、リスクについて丁寧に説明してくれる歯科医は信頼できます。
- 根管治療の実績が豊富か:症例数が多い医院は経験値が高く、難症例にも対応できる可能性があります。
- 通いやすい立地・予約体制:途中で通院が難しくならないよう、アクセスや診療時間も重要です。
まとめ:不安の多い根管治療こそ、理解が安心に変わる

根管治療は、歯を救うための非常に重要な処置です。怖い・痛いというイメージだけで避けてしまうのではなく、正しい情報と信頼できる歯科医とともに、歯の健康を守る選択をしていきましょう。
- 麻酔を使えば痛みはほとんどない
- 途中で治療を止めると再発のリスクが高まる
- 定期的なメンテナンスで長持ちする歯に
早期発見・早期治療が鍵です。「あれ?」と思ったら、すぐに相談してみてください。