こんにちは!寝ている間、あるいは何かに集中しているときに「歯ぎしり」をしていませんか?自覚がなくても、家族や友人から「夜中にギリギリ音がするよ」なんて指摘されて、初めて気が付く方も多いはず。歯ぎしりは専門的には「ブラキシズム(bruxism)」と呼ばれ、放っておくと歯や顎へのダメージはもちろん、全身の健康にも影響を及ぼすことがあります。
今回は、この「歯ぎしり」が実は私たちの身体や生活にどんな悪影響をもたらすのか、データを交えながら分かりやすく解説していきます。「まさか自分の慢性的な肩こりが歯ぎしりのせいだった!?」なんて驚きの事実もあるかもしれません。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
歯ぎしりって何?意外と多いブラキシズムの実態

歯ぎしり(ブラキシズム)とは、上下の歯を強くこすり合わせたり、噛み締めたりする習慣のことをいいます。歯科医院では寝ている間の歯ぎしりだけでなく、日中の無意識な噛み締めなども含めて「ブラキシズム」と総称しています。
- 就寝中の歯ぎしり
夜間にギリギリと音がする歯ぎしりが代表的。自分では気づきにくく、家族やパートナーから「音がしている」と指摘されて初めて発覚することが多いです。 - 日中の噛み締め(クレンチング)
ストレスや集中状態のときに、意識せず歯をぐっと噛み締めてしまうタイプの歯ぎしりです。音は出ませんが、顎や歯に負担がかかる点では夜間の歯ぎしりと共通しています。
アメリカ歯科医師会(ADA)の報告では、成人の2〜3割程度が夜間のブラキシズムを経験しているとのこと。さらに、ストレス社会と言われる現代では、仕事や家事、育児での緊張状態が続くことも原因のひとつ。日本顎咬合学会の関連文献によれば、「歯ぎしりを自覚していない方も含めると、その潜在的患者はさらに多い」と考えられています。
歯ぎしりがもたらす意外な影響あれこれ

「歯ぎしりって、歯がすり減るだけでしょ?」なんて思っていませんか?実はそれだけにとどまらず、さまざまな悪影響が指摘されています。ここでは意外と見落とされがちな影響をいくつかピックアップしてみます。
- 歯の摩耗やヒビ割れ
もっとも直接的な被害が「歯のすり減り」です。強い力で歯と歯がこすれ合うため、歯の表面(エナメル質)が傷付き、やがて象牙質が露出してしまうケースもあります。また、歯に過度な力がかかり続けると、歯にヒビが入ったり、最悪の場合、割れてしまったりすることも。こうしたダメージは元に戻せないため、早めの対処が重要です。 - 詰め物や被せ物の破損
歯ぎしりによってかかる力は、自分の体重以上になることもあると言われています。ブラキシズムによる詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)の破損リスクが高まるという報告もあります。高価なセラミックやジルコニアを使っていても、過度な力がかかり続けると破損や脱落の原因に。インプラントやブリッジを検討している方も、歯ぎしりを放置しておくとせっかくの治療後にまたトラブルが起きることがあるので注意が必要です。 - 顎関節症(がくかんせつしょう)のリスクアップ
歯ぎしりは顎関節や咀嚼筋(そしゃくきん)にも負担をかけます。結果として、口を開けたときの痛みや顎の不快感、カクカク音などの症状を伴う顎関節症のリスクが上がるとされています。日本人の約10人に1人が顎関節症に該当する可能性があると言われており、その背景には、歯ぎしりやストレス、姿勢の悪さなど多くの要因が絡んでいます。 - 肩こり・頭痛・睡眠障害への影響
顎の筋肉と首、肩の筋肉は連動しているため、歯ぎしりが原因で咀嚼筋や首回りの筋肉が緊張しやすくなり、慢性的な肩こりや頭痛に悩まされるケースもあります。また、睡眠中に歯ぎしりをしていると、睡眠の質が下がって疲れが取れにくくなるという指摘もあり、日中の眠気や集中力低下につながることもあるのです。 - 審美面でのトラブル
歯ぎしりで歯がすり減ってしまうと、歯が短く見えるようになります。また、エナメル質が削れて象牙質が透けると、黄ばんだように見える場合も。「なんだか歯が昔よりも形が変わった気がする」「歯の先が薄く透けてきた」などの変化は歯ぎしりのサインかもしれません。歯の見た目にコンプレックスがあると、人前で話したり笑ったりするのが億劫になる方もおられます。
歯ぎしりの原因とメカニズムを知ろう
こんなにも影響の大きい歯ぎしりですが、その原因は決して「歯並びの問題」だけではありません。最近の研究では、脳や神経の活動、精神的ストレスなど複数の要因が絡んでいると考えられています。
- ストレス・緊張
心理的ストレスが高い状況や、集中状態のときに噛み締めが強くなることが多いとされます。これは無意識に「歯を食いしばって頑張る」イメージに近いかもしれません。 - 睡眠障害
睡眠時無呼吸症候群や不眠症などがあると、睡眠の質が乱れて歯ぎしりが誘発されやすくなります。 - 噛み合わせの乱れ
もちろん、歯並びや噛み合わせに問題がある場合も歯ぎしりに拍車をかけることがあります。 - 生活習慣(姿勢やカフェイン摂取など)
長時間のデスクワークやスマホ操作で姿勢が悪くなると、顎に負担がかかりやすくなります。また、カフェインやアルコールの過剰摂取も歯ぎしりと関連があるとの研究報告があります。
対策はどうする?歯ぎしりを防ぐ&改善する方法

一度歯ぎしりの習慣がついてしまうと、自力で完全にやめるのは難しい場合が少なくありません。そこで、歯科医院をはじめ専門家のアドバイスを受けながら対策していくことが大切です。
- マウスピース(ナイトガード)の使用
最も一般的な対策が、夜間の歯ぎしり対策として「ナイトガード」を装着することです。
・メリット
・歯と歯が直接接触しないので、摩耗やヒビを防げる
・顎関節や筋肉への負担を軽減できる
・デメリット
・装着に慣れるまで違和感がある
・根本的に歯ぎしりを「やめる」わけではない
それでも物理的に歯を守る効果は高く、多くの歯科医院で勧められています。 - ストレスケア・リラクゼーション
ストレスが原因で歯ぎしりをしている場合は、心身のリラックスを心がけるだけでも改善につながります。入浴や軽い運動、マッサージ、ヨガ、深呼吸などを取り入れてみましょう。
睡眠衛生を整えることも重要。寝る前のスマホやPC作業を控え、心拍数が落ち着くような音楽を聴くのもおすすめです。 - 歯並びや噛み合わせの治療
歯並びや噛み合わせに原因がある場合は、歯科矯正(インビザラインやワイヤー矯正など)や被せ物の調整で負担を軽減することが可能です。
特に大きくずれた歯並びはブラキシズムだけでなく、将来的に虫歯や歯周病のリスクも高める場合があるため、早期に矯正治療を検討してみる価値があります。 - 生活習慣の見直し
・カフェインの摂取量を減らす(コーヒーやエナジードリンクを控えめに)
・アルコール摂取の量をコントロール
・就寝前の激しい運動やスマホ使用を控え、リラックスした状態で眠りにつく
こうした小さな積み重ねも、歯ぎしりの軽減につながります。
歯ぎしりが招くトラブルと対策の比較表
歯ぎしりが原因で起こりうる主なトラブルと、その対策・予防策を比較表にまとめました。ご自身の状態に当てはまるものがないかチェックしてみてください。
トラブル | 主な原因 | 対策・予防策 | ポイント |
---|---|---|---|
歯のすり減り・亀裂 | 強い力での歯ぎしり | ナイトガード装着 | 自費 or 保険適用の確認(医院ごとに異なる) |
被せ物・詰め物の破損 | 歯への過度な負荷 | マウスピース+定期検診 | 破損前の予防が大切。修復後も再度破損に注意 |
顎関節症(顎や筋肉の痛み・音) | 咀嚼筋への負担、噛み合わせの乱れなど | 噛み合わせ調整+リラクゼーション | ストレスケアや姿勢改善も効果的 |
肩こり・頭痛 | 首・肩・顎の筋肉の緊張 | 筋肉のほぐし、ストレッチ | 普段の姿勢やPC作業時の顎位置に要注意 |
歯の見た目の劣化 | エナメル質の摩耗 | 早期の対策+審美治療(必要に応じて) | 機能面と審美面を両立するには専門医の相談を |
まとめ:歯ぎしりは放置しないで、早めの対策を!

歯ぎしりは、単に歯をギリギリと擦り合わせるだけのクセではなく、歯や顎の健康を脅かす重大なリスクを含んでいます。さらに、頭痛や肩こり、睡眠障害など、全身に影響を及ぼす可能性も。日常生活の質を下げる原因になるため、思い当たる方はできるだけ早めに対策を始めることをおすすめします。
- 歯ぎしりの悪影響:歯の摩耗、顎関節症、肩こり・頭痛、審美面のトラブルなど
- 原因:ストレス、睡眠障害、噛み合わせの乱れ、姿勢や生活習慣の影響
- 対策:ナイトガード装着、ストレスケア、矯正治療や噛み合わせ調整、生活習慣の見直し
歯ぎしりは自力では気づきにくいことも多いので、一度歯科医院でチェックしてもらうのがベストです。もし問題があれば、マウスピースなどを使った保護や、噛み合わせの見直しなど、あなたに合った対策法を提案してもらえます。歯の健康は食事や会話、笑顔に直結する大事な要素。ぜひこの機会に見直して、快適な毎日を手に入れましょう!
「ちょっと肩こりが続いてるけど、もしかして歯ぎしりが原因かも……?」とピンときたら、家族や友人にも教えてあげてください。意外なところで悩みが解消するかもしれませんよ。歯ぎしり対策をしっかりして、健康で笑顔あふれる日々を過ごしていきましょう!