はじめての歯医者、泣くのは当たり前?
「うちの子、初めての歯医者で大泣きしてしまって…」
「待合室から診療室にすら入れなかった」
そんな経験を持つ親御さんも少なくありません。
大人にとっても、歯医者=痛い・怖いというイメージは根強いもの。子どもにとってはさらに未知の世界です。見たことのない器具、マスクをした人、独特な音やにおい…五感すべてが刺激され、不安や恐怖が爆発してしまうのも無理はありません。
でも、安心してください。「歯医者嫌い」になるか、「自分から通いたい」と思えるかは、初診で決まると言っても過言ではありません。
今回は、泣かずに通えるための5つの具体的な工夫と、親御さんができる事前のサポート、そして歯科医院選びのポイントまで徹底解説します。
なぜ子どもは歯医者を怖がるのか?

恐怖の理由は単純ではなく、複数の要因が重なっています。
要因 | 具体的な内容 |
未知への不安 | 何が行われるか分からない。説明を受けても想像がつかない |
五感への刺激 | 器具の音(キーン、ゴーッ)、におい、明るいライト |
親の不安が伝染 | 親の緊張や「怖くないよ」といった過剰な励ましが逆効果になることも |
前回の記憶 | 一度でも痛い思いをすると、次回から抵抗感が強まる |
自我の芽生え | 2~3歳以降は「自分の意思で行動したい」時期。強制されると反発 |
このように、「泣くのが当然」と理解しておくことで、親としての心構えも変わってきます。
泣かずに通えるための5つのコツ

1.いきなり治療させない「慣らし通院」が大事
初めての歯医者でいきなり削る・詰めるなどの治療をするのは、子どもにとってハードルが高すぎます。まずは「見て、触って、遊ぶ」ステップからスタートしましょう。
多くの小児歯科では「トレーニング診療(TSD法)」と呼ばれる方法を導入しており、
- 器具を見せて説明する
- 椅子を動かしてみる
- バキューム(口の水を吸う機械)で遊ぶ
といった工程を1回目に行い、診療室やスタッフとの距離を縮めていきます。
いわば「歯医者ごっこ」のような体験を通じて、不安を好奇心へと変えていくわけです。
2.ネガティブワードを使わない声かけ
親御さんがつい言ってしまいがちな言葉、実は子どもにとっては逆効果です。
NGワード | なぜダメ? | 代替表現 |
痛くないからね | 「痛いかも」と連想してしまう | 「先生にお口の中を見てもらおうね」 |
我慢してね | 我慢が必要=嫌なことという印象 | 「終わったらシールもらおうね」 |
怖くないよ | 怖いことがあるの?と不安になる | 「どんな道具があるか楽しみだね」 |
言葉のチョイスひとつで、子どもの気持ちは大きく変わります。前向きな表現を選びましょう。
3.予習は「絵本」や「動画」で
歯医者さんをテーマにした絵本やYouTube動画を一緒に見ると、「初めて」への抵抗がやわらぎます。おすすめは以下の通り。
メディア | タイトル | 特徴 |
絵本 | 「はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!」 | 歯磨きと電車を絡めた楽しいストーリー |
絵本 | 「ノンタン はみがき はーみー」 | 幼児向け。音やリズムで親しみやすい |
動画 | NHK「おかあさんといっしょ 歯医者さんごっこ」 | 音楽と遊びで歯医者の疑似体験 |
実際に通う医院のウェブサイトに「院内紹介」や「先生紹介」があれば、事前に見せて安心感を与えるのも効果的です。

4.ご褒美は“過程”に与える
「頑張ったらおもちゃ買ってあげる」ではなく、「椅子に座れたらシール1枚」「口を開けられたらご褒美スタンプ」というように、段階ごとの達成を褒めていくのが理想です。
褒美の例:
- 歯医者専用スタンプカード(通院ごとに1個)
- 診療後にもらえるミニおもちゃやシール
- 親からの「よくできたね」ハイタッチや抱っこ
「治療の成功=ご褒美」よりも、「挑戦したこと自体を評価」することで、次の通院にも前向きになれます。
5.歯科医院選びは“キッズ対応”がカギ
子どもが泣かずに通えるかどうかは、医院の雰囲気やスタッフ対応による影響が非常に大きいです。
選ぶ際のポイント:
- 小児歯科専門 or 小児対応を明記している
- キッズスペース・アニメ動画・絵本などがある
- 親子で診療室に入れる
- 医師・スタッフが子どもの扱いに慣れている
- トレーニング診療に対応している
実際に医院の口コミをチェックしたり、初診前に電話で「子どもの診療に慣れているか」「慣らし通院に対応しているか」を確認するのもおすすめです。
はじめての通院で起こりがちな“あるある”と対策
状況 | 子どもの反応 | 親がとるべき対応 |
診療室で泣いて入れない | 不安が爆発して動けない | 抱っこして一緒に入り、無理には押さえつけない |
口を開けない | 恐怖で緊張している | 医師に任せ、親は笑顔で横にいるだけでOK |
「帰りたい」と言い出す | 診療室が怖くなった | 一度退出して再トライ。成功体験を作ることが大切 |
大切なのは、「1回で全部できなくてもOK」と考えること。何度かの通院で段階的に進めば、それがベストな結果につながります。
まとめ:親子で前向きな歯科デビューを

- 子どもが歯医者を怖がるのは自然なこと。
- 慣らし通院・絵本や動画・前向きな声かけが成功の鍵。
- “泣かずに通える”医院選びが未来の歯医者イメージを決める。
- 1回の通院で完璧を求めず、小さな成功を積み重ねる。
はじめての歯医者は、子どもにとっても親にとっても大きなイベントです。だからこそ、恐怖ではなく「楽しかったね」で終われる経験に変えてあげることが大切です。
その第一歩を、ぜひこのガイドを参考にしてみてください。