「筋トレの効果は噛みしめで変わるもの?」と疑問に思ったことはありませんか?
筋トレ中、重い重量を持ち上げる瞬間に「ぐっと歯を食いしばる」という人は少なくありません。
実際、踏ん張る場面では無意識に噛みしめていることも多いでしょう。
では、この噛みしめは筋トレの効果に影響するのでしょうか。
近年の研究では、噛みしめと筋力発揮の関係についてさまざまな検討が行われています。
なかには、噛みしめが筋力やパフォーマンスに関係する可能性を示す結果も報告されています。
一方で、強い噛みしめは顎や歯への負担につながる可能性もあるため、正しい理解が欠かせません。
この記事では、研究結果をもとに噛みしめと筋トレ効果の関係をわかりやすく解説します。
目次
筋トレと噛みしめの関係とは

筋トレと噛みしめの関係は、スポーツ科学や歯科分野で研究されているテーマの一つです。
特に「噛みしめることで身体の力の出方が変わるのか」という点に注目が集まっています。
まずは、筋トレと噛みしめの関係について解説します。
噛みしめは踏ん張るときに自然に起こる
人は強い力を発揮するとき、以下のような場面で無意識に歯を噛みしめることがあります。
- 重いものを持ち上げるとき
- 全力でダッシュするとき
- ジャンプするとき
この現象は、身体の安定性や神経の働きと関係していると考えられています。
踏ん張るときに噛みしめることで、体幹の安定性が高まり、力を発揮しやすくなる可能性があると言われているのです。
噛みしめは神経系の働きに影響する可能性がある
噛みしめは、顎の筋肉だけでなく神経系にも影響を与える可能性があります。
研究では、噛みしめた状態で筋力測定を行うと、噛みしめていない状態より筋力が高くなる場合があることが報告されているのです。
これは「遠隔筋促通(えんかくきんそくつう)」と呼ばれる現象と関係すると考えられています。
簡単に言うと、身体の一部の筋肉を強く使うことで、他の筋肉の活動も高まりやすくなる現象です。
ただし、すべての研究で同じ結果が出ているわけではありません。
そのため、噛みしめが必ず筋力を高めるとは断言できないのが現状です。
参考:歯を食いしばる行為と座位姿勢が四肢筋の最大静的力に及ぼす影響
マウスピースとスポーツパフォーマンスの研究

噛みしめと筋力の関係を調べる研究では、マウスピースの使用も注目されています。
スポーツ用マウスピースの目的
スポーツ用マウスピースは、もともと歯や顎を守るために使用されてきました。
特にコンタクトスポーツ(選手同士の身体接触があるスポーツ)では、衝撃による歯の破折や顎のケガを防ぐ役割があります。
そして近年では、以下のような効果も研究されています。
- 筋力発揮への影響
- バランス能力への影響
- 運動パフォーマンスへの影響
そのためスポーツ用マウスピースは、ケガの予防だけでなく、身体機能やパフォーマンスとの関係についても研究が進められているのです。
噛み合わせの安定が身体の安定につながる可能性
一部の研究では、マウスピースによって噛み合わせが安定すると、身体のバランスが改善する可能性が示されています。
噛み合わせが安定すると、顎周囲の筋肉の働きが安定し、それが姿勢や体幹の安定につながる可能性があると考えられています。
ただし、この効果には個人差があり、すべての人でパフォーマンスが向上するわけではありません。現時点では「可能性がある」とされている段階です。
参考:マウスガード装着による咬合状態の均等化と姿勢制御機能の改善
筋トレ中に強く噛みしめてもいいのか

噛みしめが筋力発揮に関係する可能性があるとはいえ、強く噛みしめ続けることには注意が必要です。
特に筋トレでは大きな力が加わるため、歯や顎への負担が想像以上に大きくなることもあります。
また、筋トレの効果を高めるために「意識的に強く噛みしめるべきなのか」と疑問に思う人もいるでしょう。
ここからは、筋トレ中の噛みしめによる影響と、トレーニング時に意識しておきたいポイントについて解説します。
強い噛みしめは歯や顎に負担をかける
強い噛みしめを繰り返すと、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。
- 歯の摩耗
- 歯のヒビ
- 顎関節への負担
- 顎関節症のリスク
筋トレ中は強い力が加わるため、歯や顎への負担も大きくなります。
特に歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は、注意が必要です。
無理に噛みしめる必要はない
筋トレの効果を高めるために、意識して強く噛みしめる必要はありません。
多くの場合、踏ん張る場面では自然に噛みしめが起こります。
筋トレの効果を高めるためには、むしろ以下のような基本を意識することが大切です。
- 正しいフォーム
- 適切な重量設定
- 呼吸のコントロール
これらが筋トレ効果に与える影響は、噛みしめよりも大きいと考えられています。
筋トレ中に噛みしめが起こりやすい人の特徴

筋トレ中の噛みしめは誰にでも起こる可能性がありますが、特に起こりやすい人にはいくつかの特徴があります。
ここからは起こりやすい人を解説するので、自分に当てはまるものがないか確認してみましょう。
普段から食いしばりの癖がある
日常生活の中で、無意識に歯を食いしばる癖がある人は、筋トレ中にも強く噛みしめてしまうことがあります。
例えば、以下のような場面で歯を食いしばることが多い人は注意が必要です。
- 仕事や勉強に集中しているとき
- ストレスを感じているとき
- スマートフォンやパソコンを長時間使用しているとき
こうした癖がある場合、筋トレで力を入れる場面になると、さらに強く噛みしめてしまうことがあります。
高重量トレーニングを行っている
高重量のウエイトトレーニングでは、体を安定させるために強く踏ん張る必要があります。
その結果、無意識に歯を食いしばることが多くなるのです。
特に、以下のような種目では、噛みしめが起こりやすいと言われています。
- スクワット
- デッドリフト
- ベンチプレス
上記は全身の筋力を使うトレーニングのため、体幹を安定させようとして顎にも力が入りやすくなる傾向にあります。
力みやすいフォームになっている
筋トレ中に首や肩に力が入りすぎている場合、顎にも余計な力が入りやすくなります。
特に初心者の場合、重い重量を扱うことに意識が向きすぎて、身体全体に力みが生じることがあります。
その結果、歯を強く噛みしめてしまうケースも少なくありません。
このような場合は、フォームを見直すことで噛みしめが軽減されることもあります。
噛みしめが気になる場合の対策

筋トレ中の噛みしめが気になる場合、いくつかの対策があります。
ここからは、噛みしめが気になる場合の対策を解説します。
マウスピースを使用する
強い噛みしめがある場合、スポーツ用マウスピースを使用することで歯への負担を軽減できる可能性があります。
特に以下のような人は検討する価値があります。
- 歯ぎしりの癖がある
- 顎が疲れやすい
- 歯にダメージがある
歯科医院では、個人の歯型に合わせたマウスピースを作製できます。
噛みしめすぎないフォームを意識する

筋トレ中は力みすぎると、首や顎にも余計な力が入りやすくなります。
そのため、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
- 首に力を入れすぎない
- 呼吸を止めすぎない
- 肩に力を入れすぎない
身体全体のバランスを意識することで、過度な噛みしめを防ぎやすくなります。
まとめ

噛みしめは、踏ん張るときに自然に起こる身体反応であり、筋力発揮に影響する可能性があります。
実際、一部の研究では噛みしめによって筋力や身体の安定性が高まる可能性が示されています。
一方で、その効果は個人差があり、すべての人でパフォーマンスが向上するわけではありません。
また、強い噛みしめは歯や顎に負担をかける可能性もあります。
そのため、筋トレの効果を高めるために無理に噛みしめる必要はありません。
正しいフォームや適切なトレーニングを基本にしながら、必要に応じてマウスピースなどの対策を検討することが大切です。
筋トレと噛みしめの関係は、今後も研究が進むと考えられています。
正しい知識を知っておくことで、トレーニングの効率と安全性の両方を意識した取り組みにつながるでしょう。